
『速報 (論文紹介)』のページ
最終更新日(1998/7/02)
ここには、数理工学研究室が行なっている、論文紹介のリストを載せています。なお、ここに紹介している論文のアブストは、発表者が書いたものです。内容に関して疑問点、質問等がございましたらそれぞれの発表者に対して E-mail でお願いいたします。管理者はその件に関しては責任を負いません。
第1回
- 日時:4/16(木)
- 講演者:西野 誠(M1)
- 紹介論文:
I.Booth, A. B. MacIsaac, and J.P.Whitehead, Phys. Rev. Lett. 75, 950(1995)
- タイトル:
Domain Structures in Ultrathin Magnetic Films
- アブスト:
超薄膜磁性体のモンテカルロシミュレーションから温度によって3つの異なった相を示すことがわかる。低温でのストライプ相と高温での無秩序相との間の状態は長距離秩序をもたない相である。この中間相では不規則ではあるが明確な磁区が存在する。これらは、実験的な研究で観測された磁区構造とよく似ている。
- キーワード:モンテカルロ法、磁区、長距離秩序
第2回
- 日時:4/23(木)
- 講演者:家竹 利政(D2)
- 紹介論文:
R.A.Jalabert, K.Richter and D.Ullmo, Surface Science 361/362 (1996) 700
- タイトル:
Persistent currents in the ballistic regime
- アブスト:
近年、半導体の微細加工技術の発達によって、バリスティック領域における単一リングの永久電流が観測されるようになった。今回紹介する論文では、有限の幅を持つ二次元リングの永久電流を半古典論を用いて導出している。このとき鍵となるのが古典周期軌道であるが、温度やリングの内径と外径の比を変化させたとき、どのような軌道が永久電流に寄与するのかを議論し、また実験との比較も行う。
- キーワード:永久電流、バリスティック領域、古典周期軌道
第3回
- 日時:4/30(木)
- 講演者:太田 行紀(M2)
- 紹介論文:
Donald P.Visco,Jr.and Surajit Sen, Phys. Rev. E 57, 224(1998)
- タイトル:
Dynamics of anharmonic oscillator that is harmonically coupled to a many-body system and the notion of an appropriate heat bath
- アブスト:
非調和型ポテンシャルをもつ振動子の速度相関関数を統計力学的に扱って(カノニカル分布を用いて)導出する。また、3種類の熱浴のモデルに対する非調和型ポテンシャルをもつ振動子の速度相関関数を数値計算により調べ、統計力学の方法によって得られた結果との比較を行う。
- キーワード:カノニカル分布、熱浴、速度相関関数
第4回
- 日時:5/07(木)
- 講演者:佐伯 健一郎(M1)
- 紹介論文:
R.Akis,D.K.Ferry,and J.P.Bird, Phys. Rev. Lett. 79, 123(1997)
- タイトル:
Wave Function Scarring Effects in Open Stadium Shaped Quantum Dots
- アブスト:
Marcusはstadiumの形状のドットを介しての磁気コンダクタンスの測定を行い、その周期性とスカー波動関数と関係があるのではないかと推測した。そこで筆者たちは磁気コンダクタンスと波動関数を数値計算により求め、磁気コンダクタンスの周期性とスカー波動関数の関係の有無について調べた。
- キーワード:scar波動関数、磁気コンダクタンス
第5回
- 日時:5/14(木)
- 講演者:水野 正隆(M2)
- 紹介論文:
J.Habasaki, I.Okada and Y.Hiwatari, Phys. Rev. B, 55, 6309(1997)
- タイトル:
Fracton excitation and Levy flight dynamics in alkali silicate glasses
- アブスト:
MDシュミレーションにより、alkali silicate glass 中のイオンの動きを調べる。ガラス転移点近傍でのイオン等のダイナミクスはそれら粒子の単独運動と周りの粒子との協同的な運動があることが知られているが、それらの運動はそれぞれ、フラクトン励起とレヴィフライトダイナミクスで解析できることが分かった。
- キーワード:ガラス転移、MDシュミレーション、Levy flight、fracton excitation
第6回
- 日時:5/21(木)
- 講演者:馬 駿(D1)
- 紹介論文:
Wen-ge Wang, F. M. Izrailev, G. Casati, Phys. Rev. E. 57, 323 (1998)
- タイトル:
Structure of eigenstates and local density of states
- アブスト:
The averge shape of the spectral local density of states and eigenfunctions
has been studied for a dynamical model that can exhibit strong chaos in
classical limit. The form of spectral local density of states and
eigenfunctions is given analytically and confirmed numerically.
- キーワード:Chaos, classicl limit, local density of states
第7回
- 日時:5/28(木)
- 講演者:西野 誠(M1)
- 紹介論文:
Daniel J. Lacks, Phys. Rev. B, 56, 13 927(1997)
- タイトル:
Path-integral Monte Carlo simulations of a supercritical fluid
- アブスト:
液体の量子力学的効果は結晶ほどよく分かっていない。そこで、希ガスについて経路積分モンテカルロシミュレーションを臨界圧力の下、広い温度範囲で行った。その際、原子間の相互作用としてLennard-Jonesポテンシャルを考慮した。シミュレーションの結果、液相の熱膨張率は液相の定圧比熱、あるいは結晶の熱膨張率よりも小さいことが分かった。
- キーワード:超臨界液体、PIMCシミュレーション(経路積分モンテカルロシミュレーション)
第8回
- 日時:6/04(木)
- 講演者:家竹 利政(D2)
- 紹介論文:
Bruno Lindquist and Rolf Riklund, Phys. Rev. B, 56, 13 902(1997)
- タイトル:
Solitonlike States in a nonlinear asymmetric Cantor lattice
- アブスト:
フラクタルな系の研究や非線形系の研究は活発であるがフラクタル構造を持つ系における非線形性の効果はそれほど研究されていない。今回紹介する論文で、Cantor集合に対応した有限の1次元超格子を考え、その非線形シュレディンガー方程式を数値的に解くと、線形系にはない”Soliton-like”な固有状態が見つかった。そこで、実際にこの状態を初期値として、ある条件の下、その時間発展を調べてそれが粒子のごとく運動しているかどうかを見る。
- キーワード:Cantor格子、非線形離散シュレディンガー方程式、ソリトン
第9回
- 日時:6/11(木)
- 講演者:太田 行紀(M2)
- 紹介論文:
Dima Mozyrsky and Vladimir Privman, yukawa quant-ph/9709020
- タイトル:
Adiabatic decoherence
- アブスト:
環境(熱浴)と断熱的(環境と量子系のenergyのやりとりがない)に相互作用する量子系のdecoherenceの振る舞いを調べる。量子系のdecoherenceを記述する式を導出し、decoherenceの起きる条件について考察する。
- キーワード:quntum decoherence, heat bath, effects of enviroment,thermalization
第10回
- 日時:6/18(木)
- 講演者:佐伯 健一郎(M1)
- 紹介論文:
M.Macucci, Karal Hess,G.J.Iafrate, Phys. Rev. B, 55, R4879(1997)
- タイトル:
Numerical simulation of shell-filling effects in circular quantum dots
- アブスト:
筆者たちはcircleドットのcapacitive energyを数値計算し、以前の数値計算でも報告、また実験でも確認されたshell-fillingな振る舞いを再現した。また、ドットの半径に対するcapacitive energyの定量的な評価などもを行っている。
- キーワード:capacitive energy ,coulomb interaction,mean-field approximation
第11回
- 日時:6/25(木)
- 講演者:水野 正隆(M2)
- 紹介論文:
C.Donati, J.F.Douglas, W.Kob, S.J.Plimpton, P.H.Poole and S.C.Glotzer, Phys. Rev. Lett., 80, 2338 (1998)
- タイトル:
Stringlike Cooperative Motion in a Supercooled liquid
- アブスト:
過冷却液体中の原子や分子の運動のなかには、協同的に運動するものがあると考えられている。これまでのコンピュータ・シミュレーションに於いて、それを支持する結果が報告されているが、その協同運動する領域は、空間的にコンパクトなものであった。筆者たちは、Extend MD を用いて、3D binary-mixture(80:20) L.J.粒子 の運動を観察し、Tc (mode-coupling temperature) 以上の過冷却液体状態において、粒子はヒモ状の協同運動をしていることを見つけた。この領域の大きさは、最近考えられている協同運動が行われる領域より、大きなものであった。
- キーワード:supercooled liquid, cooperative motion, CRR, EMD
- 関連ホームページ:
http://www.ctcms.nist.gov/~donati/movie.html
第12回
- 日時:7/02(木)
- 講演者:馬 駿(D1)
- 紹介論文:
F. M .Izrailev, T. Kottos, A. Politi, and G. P .Tsironis, Phys. Rev. E, 55, 4951(1997)
- タイトル:
Evolution of wave packets in quasi-one-dimensional and one-dimensional random media
- アブスト:
現在,random 行列理論は広範囲の応用の有効な工具になった。最近まで,random行列の要素はそれぞれ一緒の統計に従う仮定をしている。これは複雑な系の性質を解釈ができて,量子Chaos系の振る舞いを描写できる。近年,量子Chaos系中の局在を解釈するために,Band Random Matrix(以下:BRM)という新しいrandom行列を導入しなければならない。BRMは一次元のRandom Potentialの問題に関係がある。BRMBでは局在の長さはよく研究されたが,波束の時間の発展はよくしらない。この論文では,波束の時間の発展をしらべた。この研究結果はAnderson Modelと局在をもつChaos系の性質を理解するのにやくだつ。
- キーワード:random 行列, 量子Chaos, 局在
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