自作電源

注記:2013年12月:11月末に追加した部分に、リンク間違い等が有ったので修正。

電源(実際の簡単な自作電源については、このページの4節以下にあり。自作電源を参考にする読者は,最初の1〜3章を飛ばして,4-6節から読んでください。)

なお、ロックイン測定などのアナログ回路に使用する高S/N 電源の自作については回路ページの3-2章を参照。(なお、本ページの4-9-3節もそれに対応しています。)

本ページの4-6節以下にマイコンを使って自作できるデジタル型電流電圧計(格安パネルメーター)を追加しました。
温度補償を考慮した高精度デジタルパネルメーター(16-ビット)の自作例も4-10節にあります。
いろいろな回路によるデジタルパネルメーターについても記事を追加しました。
(例:5Vの電源系で24Vの電流電圧計を作る方法など。(4-6-2節の[2] 、および4-10-2節:下記の目次にリンク有り)
例2:計装アンプを使わずにマイコンのみで1mAの分解能を実現する方法など。(4-6-2節の[1] 、および4-12-2節と4-12-3節:下記の目次にリンク有り))

本ページの4-9章に最近の+ー5V電源のオペアンプ用、ローノイズ高精度+ートラッキング電源の例を追加しました。

 

学生の実験のために、いろいろな電源を作る事になってしまったので(4-6節以降)、それらを読者の参考のために紹介します。 (でも、こんなにいろいろいな電源がいるとは思わなかった。各々の電源は、その用途に最適なように、それに応じた独特なキャラクターを持っています。)

 

ConstPower1

 写真は本ページの4-8節による電源の作成例。
AVRマイコンを使って自作したデジタルパネルメータ(電流電圧計)が付属している。OLEDの採用で視認性が良い。
(4-6節〜4-12節にも同様な例あり。)+5V、+3.3V、+1.5Vからのデジタル回路に最適。

 

uA_i_meter

 写真は4-7節の4-7-2節にある0V〜5Vの可変定電圧電源で10μAの電流分解能が可能な電源の例。マイコンのパワーセーブモードへの突入や、そこからの抜け出し時の電流変化をモニターするために作ったもの。なお、低消費電流型の回路(0〜5Vまでの任意電源電圧)の消費電流モニターなどにも使える。通常、このような小さい電流はデジタルテスターを直列に入れて測るが、そうすると微小電流を測るためのテスターの内部抵抗による電圧ドロップが大きくて,そこを経由した回路にかかる正確な電圧を測っていないことが多々ある。このパネルメーターでは今出力している電圧も同時に正確に測れる点にメリットが有る。また、出力電流値が増えると電流の計測レンジがマイコン制御で自動的にmAレンジやAレンジに切り替わるようになっている。右から2番目のスイッチをONすると、uAレンジから電流を測定するようにしてある。

 

Dengen15V2

 写真は4-10節の4-10-2節にあるアナログ回路用1.25~15V高精度電源の例。パネルメーターの分解能は0.01V、0.1mAであり、アナログ回路の微妙な調整や実験に便利。出力電圧はポテンショメーターで0.01V分解能で変えられる。精度向上のために、ADCは高耐圧の16-bit型を使用し、かつ、計装アンプ部の温度測定により、その出力のオフセット電圧温度変動に対するマイコンによる補正がなされている。+15Vまでのアナログ回路の精密実験に最適。

 

Pm5V2

写真は4-9節にある+−5Vのトラッキング電源の例。最近のオペアンプは+−5V電源のものが多く、それ用に作成した。計装アンプとマイコンで+−5Vの電流を同時にモニターできるようになっている。ローノイズ・トラッキング電源を自作する際の参考に。

 

Dengen24V4A0

 写真は4-11節(4A以上の電流に対応した可変電源)の4-11-2節にある汎用 0〜24V 4A 電源の例。このサイズで4Aの連続出力が可能な小型軽量電源(15cm x 11.5cm x 22cm、重量=約2kg)。また、冷却ファン(シャーシ内部に有り)は4A出力連続運転下にあっても非常に靜音。電流リミッターは低電流レンジでは170mA〜0.9Aまで10mA単位で調整可能。大電流モードでは0.9A〜4Aまでを100mA単位。電圧も0.01V単位の調整が可能。パネルメーターの分解能は0.01V、10mAであり、4Aという大電流までの種々の実験用電源として使用可能。(大電流かつ小型軽量にするために種々の工夫がなされている。)

 

Bdengen2

 写真は4-12節の4-12-2節にある、単3電池で動くモバイル型簡易定電圧電源。ストロベリー・リナックスの小型DC-DCコンバーターを使用。デジタルパネルメーター付きでデジタル回路用。実験場所まですぐに持っていけ、AC100Vの必要なし。パネルメーターの分解能は0.1V、1mAであり、ちょっとしたデジタル回路の実験用に机の上に置いておくと便利。単3アルカリ電池の使用では、3.3V出力時は約100mA max.、5V出力時は約40mA max.。出力電圧の選択は写真の右上にある小さな灰色のスイッチで。小型、可搬型デジタル用電源のいろいろな例を4-12節に示してある。

 

dengen_dcdc0-20

 写真は4-13節にある単2電池3個(4.5V)からDC 0 〜 20Vを発生するモバイル型定電圧電源。ストロベリー・リナックスの小型DC-DCコンバーター(LM2733モジュール)を使用し、その固定出力電圧(26V)をLT3080で0〜20Vに可変出力している。もう一つLT3080を使って、出力がショート時の電流を110mAに抑えている。この電源はアナログ回路にも使えるようにDC-DCコンバーターのスイッチングノイズを取り去る工夫もなされている。机上でちょっとしたアナログやデジタル回路の実験を行うのに便利な電源である。また、AC100Vの無い場所での電源供給や絶縁トランス無しのフローティング電源などにも使用できる。(電流出力容量は100mAまで。)

 

目次

(1)よく使用する電源のタイプ

(2)定電圧ICについて

(3)整流ダイオードの発熱

(4)簡単な電源回路の実例

 4-1 +5V電源(3端子レギュレーター)

 4-2 +-15V電源(2個の3端子レギュレーターによる)

 4-3 +-15V電源(トラッキングレギュレーターによる高級型)

 4-4 DC-DCコンバーターICによる負電圧の発生(+5 -> -5Vや+3.3V -> -3.3Vの発生例)

 4-5 市販基板を利用した可変電源

 4-6 マイコンによる電圧・電流計を付けた定電圧電源の例

 4-7 0Vから可変できる簡易型電源

 4-8 OLED表示器で電圧・電流計を作成したコンパクトな簡易電源

 4-9 +−5V トラッキング電源

 4-10 デジタル電流電圧計の精度が0.1mA、0.01Vの 1.25V〜15V 250mA出力、アナログ回路用電源

 4-11 24Vまでの電圧で4〜5Aの出力が可能な軽量・小型・定電圧電源

 4-12 AC100Vを使わずに3.3Vや5Vを出力する小型モバイル電源(デジタルパネルメーター付き)

 4-13 AC100Vを使わずに0〜20Vの低ノイズDC電圧を出力するモバイル電源

 

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(1)よく使用する電源のタイプ

 装置の使用用途によって以下の種類を選択する。

電池:主にNiH充電型の単3x4のボックスを使用する。PDのヘッドアンプなどの数十mAの消費電流に対処できる。電池なのでAC50,60Hzノイズもなく、高S/Nに向いている。1.2Vx4=4.8Vの電圧であるが、ほとんどのオペアンプは+−4〜5Vで動作可能であるため、十分である。また、最近のオペアンプで、+−5Vmaxのものにも対応できる。(+−には電池ボックスを2個用いる。)
 さらに良いことに、+4.8Vは5Vに近く、5V系のデジタル回路の電源として使用できる。電池としてNiH型の単3を使えば、0.1A流れても10時間ぐらいはもつ。したがって、デジタル回路の動作を簡単に確かめる際は重宝する。また、このタイプの電源はノイズが少ないので、A/D変換器付きマイコンの動作確認にも向いている。さらに、ステッピングモーターをマイコン制御する際も、あまり大きなモーターでなければ十分な時間、試行できる。電池の出力がなくなれば、再充電すればよい。

トランスによるAC電源:うまく作れば高S/Nにも対処できる。(次章を参照。)アナログとデジタルが混在した場合などにも使用する。(A/D converterなどがノイズを嫌う場合。)なお、+−15Vの電源で1Aや2Aのものが必要なら、コーセル社に良い電源モジュール(リニア電源Gシリーズ:インターネットで見つかる。たぶん、共立電子シリコンハウス2Fで注文できる。)があるので、それを利用するのが良い。
 このタイプの電源は自作しやすいので、学生などに練習として制作させるとよい。本章の末尾に、試作例を示す。(デジタル電流計をマイコンで自作して、付属してある。)

スイッチングレギュレーター電源:S/Nが気にならなければ、大容量に対してはこれ。なお、スイッチングノイズ(数十kHz〜数百kHz)は、生半可なことでは除去できないので、注意。

DC-DC変換器:S/N的には最悪。どうしてもという時以外は使用しない。スイッチングノイズも大きいし、電圧の安定度も悪い。なお、比較的S/NをよくしたDC-DC変換器(MAX660使用)については後述する。

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(2)定電圧ICについて

 定電圧電源を自作する際には必須。各種、特徴がある。

3端子型:

 最も一般的で使いやすい。+−電源でも、中点(+−電圧の真ん中:普通、真ん中がゼロVになるわけではない。例:+V=15.1V, ーV=14.9V。)を気にしなければ、使える。なお、OP-AMPはゲインが大きく、負帰還がかかっているので、微小信号増幅以外では、あまりこのことは気にならない。
 3端子型の代表的品種は、+用では78xx (xxは電圧を表す)シリーズ。最近では低ドロップ型という、入力電圧と出力電圧の最小差が小さな製品が出ており、入力電圧が出力電圧ぎりぎりの場合は重宝。また、入力電圧を従来より低めに設定できるので、発熱を少なくでき、放熱器を無しにしたり、小さくできる。ドロップ電圧=1V品で+5V出力の場合、入力=マージンを見て(AC100Vが下がる場合)7Vとすると、0.5A流れた場合、発熱は1W。もし、78xxシリーズを用い、5Vの出力に10Vの入力を入れると、1A流れた場合、(10 - 5) x1= 5Wも発熱するので、中型の放熱器がいる。(20~30Wのはんだごての数分の1の発熱を考えるてみるとわかる。)このような低ドロップ型には48xxシリーズの他、幾つかある。(共立電子にある。)最近の3.3V等の電源用には48xxシリーズ等にしか対応していないものがある。なお、従来の78xxシリーズの場合、ドロップ電圧は3V以上はあるので、大きめの入力電圧がいる。ただし、3端子型でドロップ電圧の小さい物は、配線を間違えるとすぐ壊れるので注意。
 マイナス電圧用では79xxシリーズが有名。なお、78xxシリーズと79xxシリーズでは足ピン番号と機能対応が大きく違うので注意。配線を間違うと、正しく出力が得られないか、場合により、ICを壊す。 また、ICのフィンが金属の物は、78xxシリーズでは金属片がGNDだが、79xxシリーズではー入力になっているので、放熱版に取り付けるときにショートしないように注意。(変にシュートさせると、ダイオードが発熱したり、トランスが燃えたりする。)その他のマイナス用3端子ICにも、レギュラーではないピン配置のものがあるので注意。カタログをよく参照すること。なお、3端子型でドロップ電圧の小さい物は、配線を間違えるとすぐ壊れるので注意。
 ドロップ電圧の低いものは発熱に有利です。例えば、1Vドロップで5V出力のものに7Vの入力電圧を与え、1Aをとると、2V x 1A = 2Wしか発熱しません。この考察は、4-6節で、なぜ7.5Vや9Vのトランスを使っているかに通じます。なお、負荷が重くなると平滑コンデンサーの容量不足によるリップルが増えて、設計値以上のリップルが生じることがあり、その場合は、平滑コンデンサー容量を、例えば、4700uFなどに増す必要が出てきます。(電源出力をオシロでモニターするくせを付けましょう。)なお、平滑コンデンサー容量を増す他に、トランス出力電圧を上げる手もあります。定電圧ICのドロップ電圧よりもマージンを持って、その電圧よりも+1〜2Vほど整流出力を上げておくのがよいでしょう。

ここで、整流出力電圧は、一般的なp-n接合シリコンダイオードでは、ダイオードあたり、約0.7V(Forward voltage)をロスし、その分、出力電圧はroot(2) x トランス電圧より下がります。ブリッジ整流器の場合は、2つのダイオードを通りますので、ある程度電流が流れるような負荷時には、出力電圧はトランスの出力のAC電圧をV0とすると、DC出力電圧 Vout = V0 x root(2) - (0.7 x 2) [V]程度となります。リップルの判断はおおよそ、負荷抵抗と平滑コンデンサーの時定数が50 or 60Hzの周期時間の半分ぐらいになるかが目安です。なお、トランス出力電圧が高い場合は有利ですが、定電圧ICの発熱は増えます。そのへんは、トレードオフと試作で決めます。

 

電圧可変型:

 どうしても、その電圧が3端子型に無い場合等に使用。LM317が有名。例えば、2Vとか7Vの電圧が欲しい場合に使用。その他に723というICがあり、昔から使われているが配線が面倒。(LM317よりは外付け部品点数が多い。)負電圧タイプとしてはLM337がある。+−2.5V電源などはLM317とLM337で作成する。

+−電源(トラッキングレギュレーター):

 精度の良い+−電源を作成する場合に使う。電源の中点を起点に、電圧が設定される。微小なDC信号を増幅する回路では必須。以下のICあり。
 LM325 (NS):+-15V用。(同一シリーズの高精度品であるLM125が共立電子のシリコンハウスにあり。)
 M5290 (三菱 -> ルネサス):+−5V。(トーカイにある可能性あり。)
 M5292(三菱 -> ルネサス):+−12V。(トーカイにある可能性あり。)
 LM326が、共立電子のLM125の隣にあった。(+−12V用)
 LT3032(Linear Technology)可変電圧型(+-5Vや+-12Vなどにできる。Digikeyにあり。ただし、相当に工作は難しい:4-9-3節を参照)

これらのICは出力は数十〜150mAだが、外部Trを付ければ、それ以上が可能。
その他の電圧のトラッキングレギュレーターが必要な場合は、上記のICやLM317を利用して作成できる。(上記 ICのマニュアル、および4-9-2節を参照)

 

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(3)整流ダイオードの発熱

 あまり電子回路に慣れていない人は、整流ダイオードは発熱しないと思っているでしょうが、発熱します。
整流ダイオードは普通、シリコンのp-n接合で出来ています。ビルトイン電圧差というのがあり(bandgap相当:半導体工学参照)、0.7V以上、順方向に電圧をかけないと電流は流れ始めません。この0.7Vがダイオード両端の電圧差になるので、10A流れると10x0.7 = 7Wの発熱をします。したがって、大きな電流で使う場合は、放熱が必要です。整流ダイオードの足は短くせずに長めにしておきます。すなわち、足によって放熱を助長します。足が長すぎて邪魔な場合は、足をぐるっと螺旋に1回巻きすると良いです。
 ショットキバリア・ダイオードはビルトイン電圧が0.3〜0.5V程度と低いのが特徴ですが少し高価です。また、接合部は静電気に弱いので、静電対策がされたケース等に保管する必要があります。ショットキバリアのブリッジは日本橋のテクニカルサンヨーというオーディオパーツ専門店で入手可能です。(千石電商の少し先へ引っ越した。)普通の整流用単品ショットキバリア・ダイオードは共立電子等で入手可能です。これを4個でブリッジを組むことも出来ます。

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(4)簡単な電源回路の例(以下、回路図をリンク)

4-1 +5V電源:TTLなどの実験に使う3端子レギュレーターによる簡単な電源です。左側にある2つの端子にトランスからの線をつなぎます。トランスは7~9V 1A程度のものです。

 簡単なTTLなどの実験には、自作するよりも共立電子シリコンハウス2Fにある5V 1AのACアダプターが便利です。スイッチング方式のようで1Aの容量でも4x3x2 cmと小型です。+5V側のコネクターも同じ売り場にあります。また、5V 2A品や3V品などもあります。なお、ノイズ特性はあまり良くないので、アナログがある回路にはちょっと厳しいかも。

4-2 +−15V電源:3端子レギュレーターを使った簡単なものを紹介します。トラッキング機能はありません。7915の足ピン、およびC6の極性に注意。

4-3 +−15V電源2:トラッキングレギュレーターを使ったもの。IC単体で+-100mAまで出力できるので簡単なオペアンプ回路に便利。LM325は製造中止だが、より高精度の同じシリーズ物(LM125)が共立電子シリコンハウスに有り、少しパッケージがよごれているが使える。LM125も同じ足ピン。より大きな電流が必要なら、LM325 ICのマニュアルに外部トランジスターによる電流容量増設の回路が載っている。
 その他、簡単なトラッキング電源の例は4-9-2節にも有ります。

4-4 DC-DCコンバーター:MAX660を使用し、100mAまでのマイナス電圧をプラス電圧から発生する回路の例を示す。スイッチングノイズを電源ラインに入れないために、Lによるフィルターを設けている。Lは必要な電流値でもコイルの直流抵抗が電圧降下を生じないよう、比較的大きめのものが必要。この回路は48033(3.3Vレギュレーター)を+5V用に変えて、入力電圧を大きくすれば、+−5V用に使える。この回路で低雑音オペアンプ回路をドライブしているが、大きくはノイズの影響を受けてはいない。本回路は小型の自走型ロボットのアナログ処理回路のオペアンプ電源に使用している。10uFのコンデンサーはESR特性のよいものを使う必要があり、セラミックコンデンサーを使用している。(共立電子のデジットにある。)MAX660は、最近、共立のシリコンハウスにあった。

4-5 可変電源:共立電子の定電圧定電流可変電源キット SK317を使用すると、0〜14Vまでの電源(カレントリミット付き)を容易に作成することができる。これにデジタルパネルメーター式の4桁電圧計、電流計を取り付けて利用している(写真)。表示が4桁あるので、例えば電子素子に流れる電流値をミリアンペアーの分解能で知ることができ、重宝している。(例:高輝度LEDが何mAで、どのぐらい光るか評価。)
SK317 キット本体の価格は安く、インターネットで見ると、1775円である(2009年10月時点)。なお、写真のものは、これ意外にシャーシ、トランス、電流計や電圧計などがいる。この自作電源の写真を以下に示す。(画像をクリックすると拡大するはず。)写真で水平に見えるスイッチは、シャーシーGNDを+にするかーにするかを中点付きのスイッチで切り替えられるようになっている(中点ではどちらにもつながらない)。こうすると端子間をジャンパーする必要がないので便利である。その他のスイッチはLED内蔵型で、ONで光る。(共立電子にある。)

V_source1

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4-6 マイコンによる電圧・電流計を付けた定電圧電源の例

 4-5では市販のデジタル型電圧計と電流計を使ったが、最近、この手のパネルメーターは入手性が悪くなっている。また、価格も高い。そこで、マイコンで作った。マイコンなら市販品より安くできる。なお、市販品は16ビットの分解能があったりするが、マイコンでは10ビットのADC精度である。ただし、10ビットの分解能でも実用上ほとんど問題はない。精度としては使用した抵抗が炭素皮膜型などの理由もあり、おそらく、0.数パーセント程度と思われるが、簡単な実験ではそれで十分である。(それ以上精度が必要なときのみ、デジタルテスターを外部に付けて測れば良い。)以下に学生が作成してくれた電源(2種類)の写真を添付する。写真を見るとわかるように非常にコンパクトにできている(出力ターミナル端子から大きさが推測できると思う)。したがって、実験机のスペースをあまり占拠しないのがありがたい。写真で、白のLED付きスイッチがPower SW、緑LED付きが出力ONスイッチ(両方とも共立シリコンハウスにあり)。

  const_V_source

 左側の電源はデジタル用であり、3.3Vと5Vの両方の出力が出ている。これでほとんどのデジタル回路に使用できる。回路構成は7.5V 1A トランス(共立シリコンハウスにあり)+ブリッジ整流器+3端子x2個である。それに加え、シャーシ左上部に電流計が付いている。3の表示行は3.3V出力、5の表示行は5V出力の電流値を各々表示する。マイコンで作成しているので、表示はプログラムで任意に変えられる。パネル面をコンパクトにするために、表示器には8文字x2行の液晶(共立デジットにあったSC0802E)を使用した(ここでは液晶を使用したが、この節の最後に、より視認性の良いOLEDの例がある)。なお、この液晶の電源ピン極性は16文字のSC1602とは真逆なので注意。マイコン、液晶とも+5V駆動である。(写真右の電源も5V、3端子を独立して内蔵している。)(なお、左側の電源の5V電流値が無負荷でも6mAになっているのは電流値読み取りのオフセット処理のまずさから来ている。たぶん、出力スイッチの緑色LEDが5V出力ラインから取られているのをプログラムで引き算していなかったり、その減算値が小さい?)
 写真右の電源は可変電圧電源である。最近の回路はそれほど高い電圧を必要としないので、可変範囲は+1.25V〜+6.5Vにしてある。使用した可変電圧・定電圧ICはLM317である。この電圧範囲にした理由は、FPGA電源の1.2VからTTLの上限電圧である+6.5Vまで使用できるようにしたため。ほとんどのデジタルICの電源範囲をカバーできる。(6.5Vなら、間違ってTTLやCMOSをつないでも、まず壊れることはない。)また、最近のRail-to-Railの単電源 OP-AMPの実験にも十分な電圧範囲である。なお、より高い電圧の出力も可能であるが、今のところ、ニーズが無いのでこの範囲で作成した。高い電圧範囲の例としては4-5章、4-10章、4-11章を参照されたい。(後述のマイコンによるパネルメーターも採用できる。その際は、マイコンのA/D入力に5V以上がかからないように、分圧抵抗の比を調整すること。)写真右の電源の構成は9V 1Aトランス(共立電子)+ブリッジ+LM317。別途、78M05で+5Vも発生し、マイコン等へ供給。

 さて、肝心の電圧・電流計について述べる。使用したマイコンはAVRのATTiny461(表面実装型=デジットにあり)である。(なお、後述するプログラムではFlash使用率は76%であり、もし、機能を拡張させたい場合などは、最初からATTiny861(デジットにあり)という容量の大きなものを使っておくと良い(Tiny461とピンコンパチで倍のFlash容量)。なお、Tiny461のままでも今回のプログラムなら76%なので、余裕を持って足りる。)このAVRは複数本のADC入力を持っていて、電圧計測と電流計測に使う。回路図ボード実装例の図をPDFで添付する。電流を電圧に変換するためには、電源出力線に0.1 ohm の抵抗を挿入し、その電圧降下を測定する。例えば、1A流れると、0.1Vドロップが生じ、それをアンプした後、AVRが読み取る。その検出部分の回路図をPDFで示す。以下、動作等の詳細について記す。
 出力電圧(0.1 ohmを通った後の電圧)についてマイコンのADCで読み取り、出力電圧として液晶表示される。回路図のPA0 (ADC0)のラインがそれ。R5とR7によって、電圧値は1/2に分圧されている。これは、+5Vを超えた出力の場合、ADCが飽和して正しく電圧が変換されない(5.05Vでも5Vと出てしまう)のを防ぐためと、AVR入力への過電圧印加を防ぐためである。C2はノイズとりである。
 電流値に対応する電圧は後述のアンプで増幅された後、AVRのPA1 (ADC1)に入力される。その際、使用しているアンプ出力が0 ~ +5VのADC入力電圧の許容範囲を超える可能性があり、D1, D2のダイオードで保護する。その際、アンプ側に過大な負荷をかけないように、R6の抵抗がある。また、R6とC1によってノイズとりも行う。
 AVRボードのアナログGNDとデジタルGNDは一カ所で接続する。そのためにR3 = 0 ohmがある。これを半田ジャンパーする。
 AVRボードのパターン図では、全体をコンパクトにするために、表面実装部品を使用しているが、シャーシーのスペースに余裕があれば、普通のDIP ICや普通のC, Rなどで作成可能。パーターン図では、部品名が反転している部品は裏側に実装。表側にはTiny461, 液晶の14-pinコネクタ、VR1のコントラスト調整トリマ、その他の表面実装部品が実装される。液晶は14ピンコネクタにささり、表面実装のAVRにかぶるように実装される。基板裏側にはSV1 6ピンコネクタ、CON1コネクタ、CON3コネクタ、L1, C5, R1, C4などが実装されている。これで非常にコンパクトに液晶表示部を構成している。図でUpperside of LCDとある方向がLCD表示の上側。

 電流値の検出には電源出力の+ラインに0.1 ohmの抵抗をシリーズに入れ、その両端の電圧をモニターする。GNDラインに抵抗を入れる手もあるが、そうするとGNDラインが少し、真のGND(シャーシーGNDなどもそれ)から浮くので、それを避けるために+ラインに入れ、抵抗を通過したアウトプット側の電圧をAVRで読んで出力電圧として表示するようにする。
 +ラインに入れた抵抗の両端の電圧は、例えば、ほぼ+5Vに近い値となっており、その差のみを増幅しなければならない(抵抗に入る側がアンプの+入力、抵抗を通過した側がアンプのー入力)。そのために回路図で示した計装アンプ(Instrumentation AMP)を使用し、差動増幅によって差のみを増幅する。最近は単一電源で動作する計装アンプもあるが、そうするとうまく増幅できない。というのは、その手のアンプでは入力電圧の範囲が狭いものが多く、今回のような+出力ラインとほぼ同じ電圧だと正常に差動増幅できない。したがって、+ー2電源による計装アンプ(INA103:共立シリコンハウスにあり)を使用する。+出力ラインの電圧は最大で+7Vまでを想定すると、計装アンプの電源は+−12Vほどでよい。その電源は別のトランスを内蔵して発生させる手もあるが、今回は面倒なので+5VからDC-DCコンバーターで発生させている。(回路図参照)今回は共立にあったネミックラムダのもの(小型だったから使用。注:RC端子はGNDに落とさないと出力が出ない)を使ったが、コーセルのもの(これも共立にあり:昔からあるので信頼性は高いと思う)でもよい。DC-DC電源は少しノイズが多いのだが、今回は計装アンプを使ったので、その同相電源ノイズ除去比が高いため、まったく影響は無かった。
 添付した回路図では、計装アンプとDC-DCコンバーターの他に、リレーが入っている。これは、mAから電流値を表示したかったためで、AVRからリレーを制御して計装アンプのゲインを切り替えられるようになっている。回路図ではGain Highで155倍、Lowで25倍にしてある。例えば、+5Vの出力で1mAの出力電流は0.1 ohm両端に0.01mVを発生させ、155倍の増幅後、1.55mVとなって、5VのADC reference voltageでのAVRの10-bit ADC (1024分解能)で検出可能になる。これに対し、2Aに対する出力電圧ではGain Lowで5Vのアンプ出力となり、2Aまで計測可能である。
 AVR側はまず、Gain Lowで電流値を読み、0.25A以下であればGain = Highとして再読み込みをしてmA表示を行う。また、Gain Highで読み込んだ電流値が0.3Aを超えていれば、Gain = Lowとして、再読み込み後、A表示を行う。切り替えの値にはヒステリシス特性を持たせてあり、ある閾値の近辺で頻繁に表示が切り替わるのを防いでいる。ヒステリシス特性を実現するためには、Gain_flag変数に前のGain 状態をメモリーしておく。詳細はプログラムを参照されたい。
 なお、計装アンプの出力は+−12Vまで変化する可能性があり、AVR側には前述した保護ダイオードが必要である。
追補:デジットにあった電流検出ICというのを電流値測定に使ってみたが、うまくない。このICはホール効果検出素子を使って電流値を検出する。ホール素子は電流によって発生した磁場の強度を電圧に変える。試作したところ、以下の問題点が出て、採用を見送った。1. ICの出力電圧変化が小さく、あるオフセット値があるので、オフセット除去型アンプが必要。それを設計して使ったが、さらなる以下の問題が発生。2. ICの近所にトランスがあると、その漏れ磁束でホール素子が反応し、出力電圧に60Hzの大きなノイズが重畳する。これを除去するためにフィルターを入れると、電流値のモニター出力の応答時間が極端に遅くなる。これは今回のコンパクトな電源の電流測定では非常に大きな問題となった。3. ホール素子のオフセット電圧値は温度特性があり、温度によってオフセットがかなり変わる。したがって、mAレベルの分解のは無理(暖房が入っただけで、10mA以上、読みが変わった)。元々、このICはAレベルの電流のモニター用であり、分解能的には0.1Aオーダーの検知用であると思われる。(なお、長所としては、非常に直列抵抗値が小さい。前記した0.1 ohmのシリーズ検出抵抗による方式だと、1Aで出力には0.1Vのドロップが出る。ただし、抵抗値を下げてアンプゲインを上げる手もある。あとはS/Nとのトレードオフ。)

 AVRのプログラムはBASCOMで作った。AVRを使ったのはそのため。BASCOMだと簡単にできる。そのプログラムを添付する。短いプログラムなので、コメントを見ると簡単にわかると思う。今回のプログラムだと短いので、フリーのBASCOMでコンパイルできる。プログラムにおいて、オフセット値がGainによって違うのは以下の原因による。Tiny461ではPort-AのADCとデジタル入出力ポートが兼用になっており(プログラム設定で切り替え)、なぜか、空いたADCピンをリレードライブのポートして使用すると他のピンのADC変換値に少し影響があるようである(原因不明)。リレーをドライブするには21mAというマイコンとしては比較的大きな電流を流すので、同じポート(Port-A)の他のADCピンにも影響があるのかもしれない。
 プログラム中の定数としてのゲイン変換値やオフセット値は、たまたま私が作った回路の定数であり、読者が作った場合は抵抗値の誤差などもあるので、デジタル型テスターを使って校正し、プログラムの定数を書き換えて、正しい値が表示されるようにすること。
 INA103からの出力オフセット電圧は定電圧電源の出力電圧によって変動する。これはAVR側のADCピンへの回路に入っている出力電圧測定用の分圧抵抗に流れる電流が電圧によって変化するせいである。定電圧電源の出力電圧を正確に読み取るために0.1 ohmの電流検出抵抗を通った後の電圧をAVRが検知しているが、そこに分圧抵抗が入っているので、そこに電流が流れる。この電流は定電圧電源出力に負荷がつながっていないゼロ電流の時にも流れており、その電流値を計装アンプが差動増幅で検出してAVR側に通知するために、ゼロ電流出力時にもあるオフセット電圧が出てくる。AVRのプログラムではそれを補正するようにしてある。今回のプログラムでは、最大出力電圧時に出てくるオフセットをざっくりと引くという方法である。より正確にしたいなら、最小出力電圧と最大出力電圧に対して分圧抵抗に流れる電流値から出てくる計装アンプからのオフセット電圧を線形補間して、AVRで検出した出力電圧に対応するオフセット値を求め、それを引き算してやればよい。
 前記のリレーを切り替えた際に問題になるオフセット値の変動も上記の理由によるものかもしれない。

 上記の写真に紹介した電源は、必ずしも今回述べた解説通りのハードやプログラムではないが、基本的には同様のハードやプログラムであり、そのバリエーションである。読者でいろいろ改造してみてください。(写真左側の例では、計装アンプは2個使用している(その電源はトランス+LM325(トーカイにあり) or LM125(共立シリコンハウスにあり)でやっている)。また、電圧値は読み取っていない(固定電圧の3端子を使用しているので。)写真右側の例では計装アンプの回路にはオフセット調整がついている。また、ゲイン設定も少し違う。)加えて、これらの電源では計装アンプのゲイン切り替えをしていないため、アンペア表示のみでmA表示はしていない。なお、計装アンプの電源はDC-DCコンバーターで+5Vや+3.3Vから+-12Vを作ってもよい(例:TDKラムダ、CC1R5-0512DF-E)。実験してみたところほとんどノイズは乗らない。
 改造にあたっては、今回使用したAVRはATTiny461であり、作成した電源の違いによるプログラムの違いによってFlash使用率が60~80%となったが、もし、機能を拡張させたい場合などは、最初はATTiny861という容量の大きなものを使っておくと良い(Tiny461とピンコンパチ)。また、ATMega168という手もある(あまり値段は変わらないが、実装スペースは大きい)。
 計装アンプの入力電圧範囲はINA103の場合、その電源電圧から+ー3Vほど低い範囲までである。したがって、+−12Vの電源では9Vぐらいの出力電圧までOK。なお、ゲイン設定は変える必要がある(AVRのADC入力範囲におさまるように)。もし、30Vぐらいまで使いたければ、+−15VのDC-DCを使い、かつ、0.1 ohmの検出抵抗の両端の電圧(2箇所)を各々、1/3程度の計装アンプ入力電圧になるように抵抗で分圧して、計装アンプには12Vまでの範囲が入るようにする(分圧抵抗値の誤差を補正するために、計装アンプ回路にはオフセット調整を付けた方が良い)。その際、分圧抵抗に電流が流れて、その分、出力電流に加算されるので、マイコン側のプログラムでその値を減じればよい。なお、添付したプログラムでも、INA103の回路ではオフセットトリマを付けていない簡略な回路なので、オフセットがゼロになっていない部分をプログラムで減じてある。そこでは、もし、減じて零以下の負の値となった場合は、IF文でゼロにして電流値の表示をしている。以上のように、マイコンでやるといろいろできて便利である。

 

4-6-2 計装アンプについて(追補)

 4-6節ではINA103という計装アンプを使って電流検出を行っていたが、以下にその他の方法や、20Vよりも高い電圧ラインの電流を測るための計装アンプについて述べる。

 INA103の場合、電源電圧のmaxは+ー25Vなので、検出可能な入力の電圧は+25 - 3V = 22V程度までである。また、INA103は+ー電源を供給するので+5Vの電源などでは別途DC-DCコンバーターモジュールを用意して+5Vから+ー12Vなどを発生する必要が有った。以下にINA103を用いない方式について述べる。これらについては4-11節と4-12節にその実例がある。

[1] +3.3Vや+5Vの定電圧電源でINA103無しで計装アンプを実装する方法。

 デジタルパネルメーターの制御マイコンとして、AVRのTiny861を使用するとよい。Tiny861は内部のADCの前段にゲイン設定可能な差動アンプを持っており、これによって電流検知抵抗の両端の電圧をゲイン付きで差動増幅し、ADCに入れて変換する。加えてTiny861は内部にADCのレファレンス電圧源として2.56Vを持っている。
 Tiny861の差動アンプのゲインは、1、8、20、32倍が可能である(ソフトで切り替え可能)。したがって、1mA程度の精度をINA103無しで得る事が出来る。最初は32倍で高精度に計測するようにしておき、電流が増えてきたらアンプ出力が飽和する前にゲインを下げて10mA単位の表示にする等ができる。
 内部のレファレンス電圧を2.56Vにした場合、電圧検出に対しては出力電圧を抵抗分割して(1/2倍)読み取れば、5Vまでの電圧表示に対応できる。以上より、+3.3Vや+5Vの定電圧電源のパネルメーターを安く高精度に作る事が出来る。なお、INA103のように数百倍のゲインは持っていないので、電流値の表示精度はせいぜいmAレベルであり、INA103を使った場合のマイクロアンペア精度の表示はできないが、そこまでは通常、必要ない。また、INA103の方が精度は良い。
 Tiny861の内部差動アンプを使ってデジタルパネルメーターを作成した例は後述の4-12-2節と4-12-3節にある。

[2] +20Vを越える電源ラインの電流を測る場合。

 INA103では電源電圧のmaxは+ー25Vなので、検出可能な入力の電圧は+25ー 3V = 22V程度までである。したがって+24Vなどの定電圧電源のデジタル電流計を作成する際は,別の計装アンプを使うのがよい。以下の計装アンプは便利である。Analog Devices社のAD8207は5V単一電源で動作でき(3.3Vでも可能)、5V電源の場合、+65Vまでの電流センスラインに接続する事が可能である(3.3V電源では+35Vまで)。なお、ゲインは20倍固定である。さらにゲインが必要ならその後にRail-to-Rail OP-AMPをアンプを入れるか、Tiny861などのゲイン付きアンプ+ADCを有したマイコンを使えばよい。
 なにより、AD8207は単電源で動作できるのもよい。これにより、INA103のようにDC-DCコンバーターを用意する必要が無くなる。AD8207は日本橋や秋葉原では売っているところがないのと、RS-componentsでも取り扱いが無いので、アナログデバイスの代理店、またはDigikeyから購入する。値段はINA103よりは安かったと思う。AD8207計装アンプを使ったパネルメーターの例は後述の4-11-2節にある。
 インターネットでは、よくGNDリターン側に電流検出抵抗を入れて電流を測っている記事を見かけるが、この方式はあまり推奨しない。なぜなら、計測回路へのGND電圧が供給源の定電圧電源のGNDから浮くため。すなわち、GND供給ラインは電源の筐体アースとは異なる電位になり、ノイズ上も不利(電源筐体アースを被測定回路のアースとは出来ない)。本格的な電源のデジタル電流計とするには、計装アンプで電源側ラインの電流を測定するのが本筋。

 

 

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4-7 0Vから可変できる簡易型電源


       dengen723

 LM317を使った場合は+1.25Vから約30Vぐらいまで出力できるが0Vからは使えない。これを0Vからとするには、4-5で述べた共立電子の定電圧定電流可変電源キット SK317を使用するとよい。そのキットでは定電流の設定も可能。なお、上限の電圧は確か、14Vぐらいまでで、最大電流が0.4Aだった。その他、デジットで売っているLT3080を使う手もある。なお、その場合は定電流設定は無い。(注:LT3080は0V付近から正常動作とするためには数十mA以上の負荷を出力側に与えておく必要がある。)もう一つ、LM723、uA723, NJM723などの昔からある723という定電圧用ICを使う手もある。その例を回路図(PDF)で添付する。723の内部にある電圧差検知の差動増幅部の入力(+IN, -IN)の動作電圧範囲は+1V程度以上無いと動作しない。したがって、出力がゼロになる場合はそれを何らかの工夫で電圧シフトして+1V以上に見えるように-IN入力に入れてやる必要がある。+INに対しても同様な変換が必要であり、秋月電子が売っている723を使用した電源(インターネットで見つかる)では2SA1015とシリコンダイオードで電圧をシフトしている。(なお、インターネットで見つかる回路図には一カ所間違いがある。1つのトランジスターのエミッタとコレクタが逆。)これに対し、添付した例ではより簡単に作成するために、723のV-電源端子を1.5Vだけ電池でマイナスにバイアスする。電池の消費電流は約1mAなので、長く保つ。また、6P端子の電源スイッチによってバッテリ回路もON/OFFすれば、より長く使用できる。なお、電池のマイナス電圧が入った段階で723のVCとV+に+電圧がかかっていない場合は出力にマイナス電圧が瞬間的に出るので、それを防ぐためにD1(ショットキバリアダイオード:SBD)を入れてある。電池が減ってきたかどうかは出力が0Vにできなくなるので分かる。前記のLM317やLT3080を使った電源に比べ、この723方式ではほとんど0Vに近い5mVから可変できる。(LT3080の場合は25mVほどが出てしまう。)その他、電池が面倒なら,別のトランスラインで-3V程度を作っても良い。なお、DC-DC方式はあまり推奨しない。723のV-ラインにスイッチングノイズが乗って定電圧出力に反映されるかも。
 以下にLM723を使用して実際に作成した例を示す(上の写真がそれ)。基本回路は上記に述べたものと同じである。マイナス電源は別のトランスから作る。そのトランスからは電流計に使うINA103計装アンプの+ー電源も発生させる。LM723電源部に加えて、前記したマイコンによる電流電圧計も付けてある。(電流電圧計の動作原理や回路の詳細については4-6節を参照。)全体の回路図をPDFで添付する。(回路で、2SC5000には放熱器を付けること。INA103は電源に対するCMRが優れているので、その電源には特に定電圧ICを入れなくともよく,4-6節とは異なり、そのような設計となっている。)この回路で電流電圧計表示を行うBASCOMによるプログラムも添付する。プログラムでは電圧、電流値は加算平均してノイズを除去している。AVRの速度は速いので、数百回加算しても十分なデーター更新速度が得られる。
 この電源の仕様は電圧出力=約0V〜5V可変、電流リミット=約1Aであり、デジタル回路や低電圧アナログ回路の簡単な実験に向いている。電流の表示で無負荷でも1mAと表示が出ることがあるが、これを直すには前記したようにAVRの電圧値検出回路に流れる電流値をソフトで厳密に補正してやればよい。このLM723による方式は、回路は少し複雑になるが、下記の電源と比べると0Vから可変できる点が優れている。なお、デジタル回路の電圧は1.2V以下で使うことはほとんど無いので、下記の方が簡単に作成できてよいかもしれない。p.s. この電源は9Vトランスの電圧を上げて、LM723部分の抵抗値を少し変えれば、0〜10Vの電源に簡単に変更できる。それ以上の電圧も可能だが、電流・電圧計部分の分圧抵抗などを変える必要がある。(AVRに5V以上の入力電圧がかからないようにする。また、INA103の電源電圧を高くする。)

 表示器は4-8節に説明のあるOLED。

注:4-6-2節に述べたようにTiny861において、内部のゲイン付き差動アンプを使い、INA103を使わないパネルメーターを作成する方法もある。(精度は少し劣る。)

 

4-7-2 0〜5V出力で、デジタルパネルメーターの電流表示を10uAから1.7Aまで出来る定電圧電源。

 この電源では0Vからの電圧出力にはLT3080を使った。(LM723方式との違いは、上記の節を参照。)上記の節の電源との違いは電流表示をほぼ10uA分解能で行える事である。そのためには本節の最後に添付した回路図(PDF)にあるように、電流検出抵抗とINA103アンプのゲインをソフトで切り替える事である。電流が小さな間は検出抵抗値=大、アンプゲイン=高で対応し、ある電流値を越えたとAVRが認識したなら、検出抵抗値=小、アンプゲイン=低、にソフト判定で切り替えていく。パネル面の写真を二つ示す。切り替えはAVRがリレーをON/OFFする。

mA_Imeter

 上の写真では、右下から左に二つ目のスイッチ(電流検出レンジスイッチ)が下側に倒れている。AVRがこのスイッチの状態を読み、リレーを制御して電流検出抵抗を低抵抗に切り替え、アンプゲインもリレーで低くして、mA〜Aレンジの電流表示を行う。その場合、電流表示はmAから始まり、電流値がある値を超えるとAレンジにソフト的に切り替わるようになっている。なお、表示器は次節(4-8節)に説明のあるOLED。

 

uA_I_meter

 上の写真では、電流検出レンジスイッチが上側に倒れている。この場合、AVRからリレーを制御して、高抵抗値の電流検出抵抗と高いアンプゲインを設定し、10uA程度の電流分解能で出力電流を測れるようにする。写真では約3V出力時に100k ohmの抵抗に流れる電流(= 30uA)の例である。このような低い電流はmA表示では0となって,表示されない。
 なお、電流値がある値を超えると、AVRが判断してmAレンジからAレンジへと自動的に切り替えるようにしてある。

 電流検出部のみの回路をPDFで添付する。定電圧電源回路は一般的に使うLT3080と同じものであるので載せていない(LT3080のマニュアルにある例を参照)。なお、LT3080をゼロ付近の出力電圧から出すには、負荷に最初からある程度の負荷抵抗を入れておかないと,最小電圧がゼロに近づかないので,注意。(負荷に100 ohmぐらいを入れておく。)その後に電流検出抵抗を入れる事。(回路図参照)または、前節(4-7節)に有るようにLM723で0Vから定電圧電源回路の構成としてもよい。
 なお、AVRや計装アンプの電源は別途、設けておく。(同じトランスの整流出力から定電圧ICなどで発生。)今回の回路では5V定電圧ICでAVRへ、その5VからDC-DCモジュールで5 -> +-12Vにし、INA103へ供給(回路図参照)。

 制御を行うMega168のプログラムのBASCOMのソースを添付する。

 

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4-8 OLED表示器で電圧・電流計を作成したコンパクトな簡易電源

 前記に述べてきた回路方式によって簡便に試作したデジタル回路用定電圧電源の一例(LM317使用)を以下に示す。出力用ターミナルの大きさから比べて、非常にコンパクトにできていることがわかる。電流出力容量はMax 1.5Aである。電流計の表示はmAとA表示が前記の章に記したような方式で自動的に切り替わる。マイコンやデジタル回路の電源に一台あると便利。1.8Vや2.5V系が必要なデジタル系の実験にも使える。

   ConstPowerSource2

 右上部にあるスイッチで+5Vか+3.3Vが切り替わる。前記に添付した回路と少し異なるのは、電圧を+3.3V, +5V以外にも設定したかったため、ボリュームと真ん中にある追加のスイッチがあることである。そのスイッチON(スイッチタブを左に)で定電圧ICの電圧設定抵抗にVR(5k ohm:A特性)が並列に入るようになっている。その電源部の回路をPDFで示す。この回路と、前記した(4-6節前半)電流電圧計と表示部(前記した箇所にそれらの回路図とプログラムを添付)によって、全体が構成されている。(デジタル型、自作電流電圧計の動作原理や回路の詳細については4-6節を参照。)
 4-6節に添付した電流電圧表示器の回路図であるIV_meter3_circuits.pdfでは表示器は液晶のSC0802になっているが、今回は下記のWinstar社のOLEDを使用している。このOLEDの基板上のコネクターの穴は16ピンであるが、1番から14番までのピン機能はSC0802と同じで、15、16番はNCピンなので、OLEDのコネクターに14ピンコネクターを使えば、前の回路図のままでそのまま接続できる。Winstarの液晶コントローラは一般的な文字液晶のコントローラとコンパチなので、BASCOMによるプログラム(前記に添付)もそのまま使用できる。4-7節にもOLEDの使用例有り。
 上の写真の撮影はフラッシュを使用して撮影したが、文字表示機がちゃんと映っている。これは文字表示機にOLED(8文字x2行、WinStar社製WEH000802:共立デジットにあり。5Vや3Vで使用可能。)を使ったためであり、自己発光なので、非常にコントラストや視野角が良いので、カメラのフラッシュをたいても、液晶と違ってちゃんと映る。視野各が広いので、120度などの斜め角度から電圧・電流計を見ていても観測可能ということであり、そのため、この表示器を初期設計の液晶に換えて新規採用した。実験においては電源を実験机の隅に置くことも多く、視野角が広いとわざわざ電源の近くまで目を持っていかなくよいので便利である。なお、このOLED表示器の使用法については少し「くせ」があり、別途、トップページからのグラフィック液晶の制御法と回路の5章末尾にある項目を参照されたい。そこにある注意点(制御ラインであるEラインの取り扱いと、電源ラインの L を用いたフィルタリング)を除いては普通の液晶表示器のように使用できる。
 この電源は小型にするために、計装アンプの電源は+5VからDC-DCコンバーターで+-12Vを作っている(CC1R5-0512-DF、共立シリコンハウスにあり)。その回路図等は前記に添付した回路例を参照されたい。
 本システムでは、+5VはLM317とは別に7805で固定的に発生させ、AVR基板、OLEDの電源、上記DC-DCの電源となっている。出力用の電源にはLM317で発生したものを出力している。

注:4-6-2節に述べたようにTiny861において、内部のゲイン付き差動アンプを使い、INA103を使わないパネルメーターを作成する方法もある。

 上記写真の電源は非常に重宝している(1台は作っておくとよいかも)。第1に、小型で実験机上の面積を取らない。第2に、つないでいるデジタル回路に関し、その時の電圧に加えて、動作電流がほぼmA分解能でモニターできる。(市販の定電圧電源でmA表示までのものはあまり無く、最近の低消費電流のデジタル回路の動作電流のモニターが、それのみではできない。電源線にテスターをつなぐ方式も有るが、いちいちつなぐのは面倒だし、テスターの電流測定ではノイズを減らすための積算化によって時間応答が遅いが、上記の電流計では高速であり、瞬間的な電流突入やその解放もモニターできる点がさらに良い。)第3に、+1.25Vから+5Vの、ほとんど全てのデジタル電源に対応できている。1.5Aまで出力ができ、最近のほとんどのデジタルICを給電できる。第4に、最近の単電源OP-AMPの電源としても使える。最後に、電圧・電流計がデジタル表示で同時に表示され、OLEDの使用によって、そうとうに斜めの角度から見てもそれらの値が視認できるため、実際の実験において、机上のどこに置いても視認性が非常に良く使いやすい。

注:OLEDは電源ラインにノイズ混入を起こす事がよくあり、アナログ回路用のローノイズ電源には液晶型の表示器の方が望ましい。OLEDはEL素子を光らせるためにヘビーなスイッチング昇圧を行っており、このスイッチングノイズが電源線から逆流したり、電磁輻射ノイズとして出てくる。これに対し,液晶型ではバックライトはLEDであり、DC的な点灯でノイズを伴わない。なお、デジタル回路用の電源では,少々のノイズは関係がないので、OLEDで良い場合がほとんど。

 

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4-9 +−5V トラッキング電源

 最近の高性能OP-AMPは+ー15Vでは使えず、+−5Vを供給するものが多い。これらOP-AMP用に作成した電源の例を幾つか示す。単に+−5Vだけなら3端子の正負のものを使ったり、単3電池を3本づつ使って+−4.5Vの電源を実現する事もできるが、トラッキング性が無いという欠点が有る。以下に+−5Vのトラッキング型電源の自作例を示す。

4-9-1 デジタル電流計付きのローノイズ・トラッキング電源

 この電源はローノイズ電源で,かつ,トラッキングタイプにしてある。加えて、デジタル型の電流計をAVRによって実装してあり、+とーの両方の電流を同時にモニターできるようになっている。出力は200mAまでとしてあるが、回路定数を変えれば、より大きな電流値も可能。

dengenPM5V

 この電源の詳細については別の章に述べてあるので、回路ページの3-2章の(2)を参照されたい。使用しているレギュレーターICはM5290(三菱、ルネサス)で、廃版であるが大阪日本橋のトーカイにはまだある(2014年3月時点)。(トーカイの場所は、このページの上位ページである「回路ベージ」からリンクのある、さらに上位ページの「Top Page」にある「部品の入手法」のページを参照。)
 この電源の出力をオシロやスペアナで観測したところ、結構ローノイズ性が確保できているが、若干、4-9-3の方が少し良い。ただし、作り易すから見れば、こちらの方に軍配が挙る。

注:この電源では電流検出ラインの電圧が負電圧のラインもあるので、4-6-2節に述べたようなマイコンをTiny861にして、そのゲインアンプ付きADCのみによって簡易的にパネルメーターを作成する方法は適用できない(マイコンと同じ正電源のみなら可能)。負電圧の回線に流れる電流を測るので INA103を使用する方式しかない。

 この電源は40MHz〜100MHzのnAレベル・パルス電流を検出する高速T-Zアンプの電源として使用している。

 

4-9-2 簡易型+−5Vトラッキング電源

 ルネサスの「三端子レギュレータの使い方」というユーザーマニュアルの図12に載っていた方式を参考にし、それに負側の電流制限回路を追加したものを以下に示す。(ルネサスのマニュアルの図12には一箇所、誤りが有り、OP-AMPの+電源は+Vinから取るのが正しい。)また、そのマニュアルにある図13の方式を使う手もあるが、大電流で使う場合のGNDリターンに難があるように思われたので、図12の方式を採用した。すなわち、ルネサスの図13の回路では、大電流出力時にはGNDレターンには大電流が返ってくるのでOP-AMP 741を壊す?。GNDが仮想的に浮いているので電圧出力のGNDへのパスコン接続はどうするのか?。正負非対称の電流が瞬間的に流れた場合に被接続回路でGNDに接続されたパスコンの作用がどうなるのか?。GNDが浮くために全体のフィードバック系でのノイズが増すのでは?、などに疑義が有ったため、採用しなかった。

briefTracking

 組み立て後の上の写真を見ると分かるように簡単な回路である。ただし高精度ではないことと、レギュレーションはあまり良くないが、これで+−5V、100mA max.のトラッキング電源となる。(あくまで簡易に試作できることに焦点を当てた回路。)回路図をPDFで添付する。上記ルネサス資料の図12では正側のレギュレーターは3端子であり、+出力をショートしても3端子で電流制限がかかる。これに対し、負側はトランジスターのみなので、ー出力をショートするとトランジスターは壊れてしまう。PDFで添付した回路図は、この点を改良したものである。正側は78L05で100mAほどで電流制限がかかる。これに合わせてR7を調整して、約100mAでマイナス側も電流制限されるようにしてある。(こちらはフの字特性で落ちるようになっている。)

 この電源は簡易型なのでそれほど精度は良くない。+側の78L05は電流が60mAを越えたあたりから+5Vから電圧出力が少しずつ落ちていく。ただし、トラッキング型なのでー側も同様に追従して電圧が落ちていく点はトラッキング特性が維持できている。また、全体のドロップ電圧が大きく、入力電圧が12Vはないと、出力電流によっては完全なレギュレーションがなされない。
 しかしながら、簡単に作れる点が良い。ここで、出力電流値を増すには、正側のレギュレーターに78M05(0.5A)を使い、R7を変え、Q3に2SA1359を使えば0.5A出力ともなる。そうすれば、78L05で出たような電圧低下は少々の電流出力では起こらなくなる。(注:前記で78L05を使ったのは、トランスが0.2Aであり、トランスを燃やさないため。したがって、0.5Aでやる場合は、それなりのトランスを用意する事。)
 また、正側のレギュレーターに7812を使えば+−12V 1Aのトラッキング電源ともなる。なお、uA741の電源耐圧は+-18Vまでしかもたないので、OP-AMPは余裕を見て、もう少し高い電源電圧に耐えるもの(例:OPA604、NJM2147、OPA445:全て共立シリコンハウスに有り)を使う方が良い。(なお、発振するかは試していないので分からない。)
 さらに改造するなら、正側のレギュレーターにLM317などの電圧可変レギュレーターを使えば、1.25V〜25Vぐらいまでの任意電圧のトラッキングレギュレーターにもできる。なお、その際は放熱や上記した高耐圧OP-AMPの採択なども必要になってくると思われる。(なお、当方としては、当面、必要がないので設計・製作はしていない。最近の高性能OP-AMPの電源は+−5Vで十分なためであり、OP-AMPがかえって高い電源電圧は受け付けなくなっている。(+−5.3Vを越えると壊れるものもある!))
 追補: +−12Vや+−15Vのトラッキング電源なら、2章で紹介したLM325やLM326を使う方が簡単に高性能のものが得られる! (これらのICは2章に述べてあるように入手できる。)

 最後に、負側の電流制限は回路に入力する電源側に入れる手もあり得る。ルネサスのオリジナル回路の図12で、入力する電源に、トランスの出力を整流後に、例えば78L09と79L09を入れ、一旦、入力の範囲を+−9V 100mAにしておく。それを図12の回路に入れると、負側をショートしても流れる電流は79L09で100mAでリミットされる。(ただし、トランジスターにかかっている入力電圧はワーストで9Vで、トランジスターの消費電力がどうなるかは考察していないし、実際に試していないのでトランジスターがもつかは不明。)これによって負側の電流リミッターを実現できるかもしれない。この場合は、ドロップ電圧を本節の回路よりは減少できると思われ、入力電圧の最小値を下げられると思われる。これは0.5Aや1Aの電源にも適用可能かも。でも、ちゃんと本節の方式の方が確実かも(特に可変出力電圧では)。

 

4-9-3 LT3032による+−5Vトラッキング電源

 Linear TechnologyのLT3032を使って作ってみた。なお、作成(工作)は相当に難しい。ICが0.5mmピッチの足ピン配列で、かつ、小さなICの裏側のGNDパッドをなんとかしてプリント基板の銅薄にハンダ付けして放熱を確保する必要があるためである。回路図とパターン図を含んだEagleのプロジェクトフォルダーを圧縮ファイルで添付する。展開したフォルダーを無料のEagleで見れば、回路図とパターン図が読み取れる。この基板はサンハヤトの両面感光基板で作成した。このように配線が接近しているとプリント板のエッチング後にも銅薄がエッチング不良で接触していることがあり、拡大レンズで注意深く検査する必要が有る。接触していたなら、カッターナイフで分離する。
 ハンダ付けはクリーム半田や、先の細い半田ごてと0.3mm径の糸はんだでやる必要が有る。その際、半田ブリッジが出来ないように細心の注意をはらう必要が有る。(ブリッジが有れば、細い半田吸い取り線で修正。)ハンダ付けごとに拡大鏡で検査する。まず最初に、ICの裏側にある放熱のGNDパッドのために、先にパッドの所に1ミリか1.2ミリの穴をあけておく。次に、ICのピンのみを先にハンダ付けする(上記の注意も参照)。次に、ICの裏側にある放熱のGNDパッドは、上記したように先にGNDパッドの箇所に開けておいた穴に抵抗の足を切った際に出るリード線を差し込み、穴に半田をなんとか流し込んでリード線をGNDパッドにハンダ付けし、そのリード線をプリント板裏面のGNDベタパターンにハンダ付けする。(ICのGNDパッドがGNDにくっついたかどうかは、ICの表のGNDの足が表のGNDベタパターンに接続されているので、裏のベタパターンとの電気的接続をテスターで測ると接触していれば導通となるので分かる。注:IC以外の場所でGNDがVia等で接続されていないようにしておかないと検査できない。)ただし、半田でくっついているのか、単に電線の接触で導通がなされているかは検査できないので、十分に半田を流し込んでハンダ付け状態になるようにしてやる必要が有る。場合によってクリーム半田を穴に流し込んで、少し強目に温度設定した半田ごてで半田を流し込んでやる。
 その後、裏のベタGNDを表のベタGNDに各所でリード線で接続し、熱を表のパターンにも逃がすようにする。その後、抵抗やコンデンサーやViaの配線を行う。Viaのリード線による配線も半田ブリッジの生じないように細心の注意が必要である。以上のように工作は結構難しく、経験が必要である。


 作成した電源を下の写真に示す。

pm5V_ps

 LT3032は小型なのでそのプリント板も小型になり(SMD部品が増える)、写真のように小型のシャーシ(タカチ製:デジットで入手)で実装できる。(写真の3mm直径のLEDから寸法が推測できる。)なお、プリント板の銅薄の面積はLT3032のマニュアルによると放熱のためにはGNDベタパターンの面積は50mmx50mmぐらいは必要なので、極端に小さなプリント基板となる事は無い。(ただし、プリント基板のGND銅薄部をアルミシャーシーに金属サポートで複数接続し、シャーシに熱を逃がす方式なら、もっと小さくできる。)
 LT3032はmax. 150mAで電流制限がかかるので、写真の電源は+ー5V 150mAの電源となる。ここで、トラッキング型とするためには、LT3032は固定出力型ではなく、可変出力電圧型を使う事。(Eagleの回路図に厳密な製品名を書いてある。)LT3032の入手はDigiKeyで入手可能。

 LT3032のカタログはローノイズである事を歌っており、最近の+−5Vを必要とする高性能OP-AMPの電源として最適であろう。また、最近のOP-AMPは低消費電力型のものも多く、150mA出力は十分な電流出力と言えよう。(写真ではコネクターが3出力有り、合計で150mAまで出力可能。) なお、ノイズ特性を実際に観測してみると、オシロやスペアナのノイズ特性を見る限り、4-9-1節(ルネサス:三菱)のものよりも若干、優れている。
 電源に使用したトランスは12Vセンタータップ付き(6V, 6V、0.3A)を用いた(共立電子にあり)。LT3032のドロップ電圧は0.3V (typ.) であり、低い入力電圧が可能なので、それによりICの発熱も抑えられるという前出の方式と比べて優位性が有る。

 この電源では小型化を重視したために電流計は付けなかった。(出力のモニターは前面パネルの2つのLEDのみ。赤=+、緑=ー。出力がショートすれば、各LEDが消灯するので分かる。)電流計を付けるなら、4-9-1節の方式を取ればよい。なお、その際は、電流検出抵抗は出力電圧検出抵抗回路の前に入れる事。さらに、別にもう一つトランスを付けて、INA103の電源(+-9V以上)を供給する事と、そのトランス整流出力からマイコンの+5Vも作っておく必要が有る。おそらく、20V センタータップ付き(10V, 10V)0.2Aのトランスでよいと思う。

 LT3032の電圧可変タイプは+-20V弱まで可変できるので、この回路のままで電圧可変ボリュームやその周りの抵抗値を変えれば、+−2.3V〜+−20Vまでの可変電圧トラッキング電源が可能。なお、その際には入力電圧値と出力電圧値の差が大きくなるとICの発熱が厳しくなってくるので、ICの放熱パッドに近いベタGNDパターンの上に放熱器を熱伝導両面テープで貼付けておいた方が良いかもしれない(または、PCBのベタGNDをアルミシャーシーに金属サポートで複数接続し、シャーシに熱を逃がす。 )なお、トラッキング電源の回路例はLT3032のマニュアルの最後のページに有るので、マニュアルを全て閲覧しないと見つからない。それに対し、電圧設定の解説はマニュアル中程の16ページに有り、トラッキング設定の場合は、確か、その2倍か1/2倍の値を使った(忘れた)。これらは読者で設計し、試されたい。

 最後に、再度断っておくが、前記したように工作は相当に難しい。メーカーで作るには IC裏面のパッドのハンダ付けは標準的であり難しくないが、大学では厳しい。できれば、どこかの電子部品販売店(秋月、共立、Strawberry Linux、マルツ、千石、若松とか?)が表面実装済み基板、または、それが付いたキット(出力Tr 含むなら -> 出力電流=250〜500mA程度、ただし最近の低電力OP-AMPならLT3032そのままの150mAでも十分か?)を発売してくれれば、それを購入する事で非常に楽に作成できるようになり、最近の高性能オペアンプの電源(ほとんど+ー5V)に利用可能となる。

 なお、実装に苦労せずに、より容易に+ー5Vトラッキング電源の作成をしたいなら、4-9-1節に述べたM5290P(16-pin DIP IC)による方式を推奨する。こちらもローノイズにできる。(このICは廃版なので、入手性に難あり。ただし、大阪日本橋のトーカイに少量在庫有り!(2014年3月時点))
 また、少し性能は落ちるが4-9-2節のもので良い場合も多々有る(電圧可変型も可)。

この電源の内部を以下に写真で示す。

Dengen_LT3032

青色のトリマボリュームの右側に黒く小さい長方形のICがあるが、それがLT3032。トリマのサイズと比べると、相当に小さいことが分かる。

以下にLT3032の周辺を写真で示す。

Dengen_LT3032_2

ICの足ピンのピッチも狭いので、非常に作成しずらい。プリント基板の裏側には小さな穴を開けてあり、そこからLT3032の放熱パッドへの配線を行う。小さい抵抗は小型金属皮膜抵抗。

 

4-9-3-2 LT3032による+−Vトラッキング電源で電圧電流計を付けたもの

4-9-1章にあるようにAVRマイコンによるデジタル電圧・電流計を付けたものを以下に示す。なお、この電源はデジタルオーディオ用の24-bit ADC、PCM4220に電圧を供給するために+−6Vの出力電圧になっている。(電圧調整トリマーをいじれば、+−5Vの電源にもなる。)

以下に写真を示す。

Dengen_PM6V1

シャーシ内部を以下に示す。

Dengen_PM6V2

ADCに流れる電流は100mAを越えるので、LT3032の上には銅の小型放熱器が熱伝導両面テープで貼り付けてある。また、その銅製放熱器の左下側に薄いアルミ板を貼り付けて、プリント板の銅箔部(GND)にも熱を逃がすようにしてある。
写真右側のプリント基板はATtiny861 + INA103 x 2 計装アンプによるデジタルパネルメーター部である。写真奥にはLT3032で定電圧化をするための電源発生のためのトロイダルトランス(中点付き18V 200mA x 2)がある。その2回線の内、一つの整流出力をLT3032の入力とする。その上の小型トランスは液晶のバックライト用の+5V電源。(バックライトの電流量が思ったより大きく、トロイダルトランスの容量を超えてしまったため。)INA103計装アンプの電源はもう一つのトロイダルトランス回線を別途、ショットキダイオードで整流して直、使用している。トロイダルトランスは共立電子産業にある。

上記電源の回路図(Eagle projectの圧縮ファイル)とAVRマイコンのBASCOMプログラムを以下に添付する。
Eagleの圧縮ファイルを解凍すれば、プリントパターン図も見ることができる。
Dengen_LT3032_2.zip はLT3032の部分の回路。Dengen_IV_meter_2Dengen2.zip はデジタルパネルメーターの部分の回路。IVmeter6_dual2.bas はパネルメーターのBASCOMプログラム。

以上、LT3032を使ったプリント基板の作成は、けっこう面倒だが、動けば、良い電源が作れる。


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4-10 デジタル電流電圧計の精度が0.1mA、0.01Vのアナログ回路用可変電源(4-10-2節が本式)

4-10-1 Ver.1:初期バージョン

 ちょっとしたアナログ回路の実験を行う際に小型で便利な電源を作成してみた。そのへんの実験室にころがっている定電圧電源を持ってきてもよいが、少し大きくて机のスペースをとるのと、電流表示がmAまで読み取れなかったりする。そこで、安く作成してみた。以下に写真を示す。(少し改良した高精度バージョンも4-10--2に示す。)

dengen15V

 アナログ回路用なので,ローノイズにするために表示器は液晶である(4-8節に述べたようにOLEDはノイズ輻射が大きい)。電圧は1.25Vから15Vまで可変でき、ほとんどのアナログ回路の実験には十分である。電圧の下側が1.25Vなのは、使用したレギュレーターICがLM317であるためである。なお,別に少し回路に追加すれば0Vからも可能ではあるが、アナログ回路で1.25V以下の電源電圧を使うものはほとんど無いので、これで十分である。また、0Vからとすると、ある回路方式ではGND出力がシャーシGNDから浮いてしまうのでノイズ的に望ましくなかったりする。

 電源部の回路をPDFで添付する。各レギュレーターICには放熱器を付けるか,シャーシに付けて放熱する。なお、シャーシに付ける際は、LM317は放熱パッドがGNDではないため、絶縁シートや絶縁ワッシャーを挟む事。回路図で最初にあるIC1 = LM317の働きは電流リミッターを行っている。今回使用したトランスは0.4Aのものであり、かつ,整流ブリッジダイオードもmax 1Aであるため(添付した回路図ではDS1となっているが,実際に使用したのはもっと小型のダイオード)、電源出力をショートさせた場合にも0.25Aで電流制限をかけるようにしてある。もし、この回路が無いと、LM317Tの内部の電流制限が1.5Aであるために0.4Aのトランスを異常に発熱させたり、整流ダイオードに1Aのものを使った場合はそれを壊したりする可能性が出てくる。この電源はアナログ回路(主に小信号増幅器や高周波受信アンプなど)用なので、出力は250mAまでで十分である。なお、R1 = 5.1 ohmの抵抗値を変えれば、別の制限電流値とできる(LM317のマニュアルに電流値の計算式がある)。その際は、トランス、整流ダイオード、電流検出抵抗値などを変える必要がある。(5.1 ohm 1Wは千石電商にあり。)
 IC1の後ろにあるIC2 = LM317の回路は,よく使われるLM317による可変電圧電源の回路そのものである。最大出力電圧は以下に述べる理由で15Vまでとなっている。主な理由は電流値検出に使うINA103計装アンプの最大電源電圧が+−25Vまでであり、かつ、アンプの入力端子の電圧がアンプの電源電圧ー3Vまでであるためである。例えば、INA103の電源を+−20Vとすると、計測できる入力電圧は17Vまでとなる。今回はINA103の電源電圧を20Vとし、マージンを見たので、15Vまでとした。通常のアナログ回路用電源としてはこれで十分である。
 その他,電源部にはAVRの電源を発生する7805がある。
 電源トランスには、共立電子にあった低漏れ磁束型15.5V x 2、0.4Aのものを使った。シャーシに少し大きいものを使えば、16V x 2 0.5Aなどの選択もある。使った液晶のバックライトの電流=80mA、AVRの動作電流=15mA、INA103の+側電流=15mA、LM317の消費電流=約10mA、と予測されるので、出力する0.25Aの電流と合わせ、0.4Aぐらいのトランスを使っている。小型のシャーシに入れたので、回路基板は長めのポストでトランスの上に設置してある。なお、もう少し大きめのシャーシを使った方が作成はしやすい。(シャーシ内部の写真は4-10-2にあるものが参考になる。)

 デジタル表示型・電流電圧計部分の回路図をPDFで添付する。2ページ目がINA103による電流検出回路であり、15.5Vを整流して得られた+ー22Vから1WのツエナーダイオードでINA103の+−20Vを得ている。電流検出抵抗は0.2 ohm 1W(千石電商にあり)で、INA103のゲイン=100なので、0.25Aで5V出力が得られる。なお、回路図の1ページ目にあるように、たまたまそれ以上の電圧が出力された場合のために、AVRの入力が+5Vやマイナス電圧を超えないように、直列抵抗を介した後にダイオード(1S2076)でクランプして、AVRを保護してある。0.25Aよりも大きな0.5Aなどの電流検出にするには検出抵抗値を0.1 ohmなどに小さくすればよい。
 回路図の1ページ目はAVR (AT-Tiny861)によるAD変換と液晶表示回路である。出力電圧は15V maxなので、5V以内に収まるように4.7kと2kの抵抗で分圧してある。C6, C7 = 0.1 uFはノイズ平滑用である。
 AVRのBASCOMで書いたソースプログラムを添付する。コンパイルオブジェクトは4kB以下なのでフリーのBASCOMでコンパイルできる。なお、回路ではTiny861を使っているが、Tiny461でもOK。861を使ったのは、たまたま861の方が入手性が良かったため。プログラム中の補正パラメーターは電源の作成後に外部にデジタルテスターを入れて,校正する必要がある。
 プログラムではINA103のオフセット補正値を定電圧電源の出力電圧によって可変している。これは、前記したようにINA103からの出力オフセット電圧が定電圧電源の出力電圧によって変動するためである。原因はAVR側のADCピンへの回路に入っている出力電圧測定用の分圧抵抗に流れる電流が電圧によって変化するせいである。低電圧電源の出力電圧を正確に読み取るために0.2 ohmの電流検出抵抗を通った後の電圧をAVRが検知しているが、そこに分圧抵抗(回路図のR3, R5 = 4.7k , 2k)が入っているので、そこに電流が流れる。この電流は定電圧電源出力に負荷がつながっていないゼロ電流出力の時にも流れており、その電流値を計装アンプが差動増幅で検出してAVR側に通知するために、ゼロ電流出力時にもあるオフセット電圧が出てくる。AVRのプログラムではそれを補正するようにしてある。今回のプログラムでは、最小出力電圧と最大出力電圧に対して分圧抵抗に流れる電流値から出てくる計装アンプからのオフセット電圧を線形補間して、AVRで検出している出力電圧に対するオフセット値を求め、それを引き算している。詳細はプログラムを参照。また、+-20Vの電源供給下ではINA103は少し発熱するので、それによるドリフトを抑えるために小型の放熱器を両面接着・熱伝導シートでINA103の上に貼付けてある。
 電源部の回路図にある最初のLM317(IC1)による電流リミッターが250mAであり、実際には240mA程度からAVRのADC値が飽和に近くなってくるので、240mAを超えたあたりから電流表示に240mA以上であるという表示を出すようにした。この表示が出たなら、定電圧電源に接続された回路はショートしている可能性がある。
 電流値と電圧値の分解能は、おおよそ0.2mA、0.03Vぐらいなので、アナログ回路の電流をモニターするのに適している。なお、検出回路やAVRの10-bit ADCにいろいろな非線形性があるようで表示値の確度は電流で0.4mA、電圧で0.1V程度であるが実用上は十分と思われる(出力電圧によって変わったりする)。また,分解能はAVRの10-bit ADCによっても制限されている。より正確に計測するにはデジタルテスターを外部につなげばよいが、それだけで机の面積を占めてしまうので、簡単な実験をしたい場合には面倒であり、回路の消費電流の概略だけ知ればよい場合にはこの電源だけで十分である。
(注:電流を測ろうと思ってテスターを電源線に直列接続すると、テスターの内部抵抗によって回路に印可されている電圧が下がってしまう事がよく起こる。特にmAレンジだと気をつける必要がある。例えばあるアナログテスターの25mAレンジだと10オームの抵抗、ある程度高級なデジタルテスターのmAレンジだと2オームといった抵抗値がある。そのため、被測定回路の電源印可端子に,もう一つ電圧計を接続しておく必要が出てくる。そうやって、実験机が占有されていくことになってしまう。)
 精度を上げるその他の方法としては、AVR内部の10-bit ADCの代わりに、外部にI2CやSPIインターフェースの12〜16-bit ADCを付けるという手もある。こうすれば、0.1mA、0.01V以下といった精度が出る。その例を下記の4-10-2に示す。これで外部にデジタルテスターは、ほとんどいらなくなる。

 ここで紹介した定電圧電源はアナログ回路の簡単な実験を行う際に便利であり,小型、かつ、電流値もmA単位で読み取れるので重宝している。

 

4-10-2 上記電源の改良

 上記電源を改造して、電流電圧計の読み取り精度を上げてみた。以下に写真を示す。

dengen15V_22

 電圧設定のボリュームを10回転ポテンショメーターにして,微調整を容易にしてある。

内部の写真を以下に示す。

dengen15V_2

 電流電圧計の精度を上げるにはADCに16ビット型を使う。今回はSPIインターフェース型のAD7680を2個使用した。(AD7680はRS-Componentsにあり。)ADC7680はダイセンの変換基板で実装。10ユニット連結型を2個のところで切り取って使用した。電圧調整は写真右上に灰色に見えている10回転、5k-ohmのポテンショメーター。ポテンショの下に青色に見えるのはポテンショに並列接続された2回転10k-ohmのトリマ抵抗で、これで最大電圧が15Vになるように調整する。(実際は、最大電流=250mAが流れた際には電流検出抵抗=0.2 ohmによる電圧低下があるので、max = 15.5Vぐらいにしておく。)Tiny861のプリント板は低い高さのトランス(共立にあり)の上にマウントされている。プリント板がよく見えるようにLCDへの14-pinコネクターははずしてある。装置はコンパクトにするために3端子レギュレーター類はシャーシに直づけで放熱を確保(LM317は絶縁シートと絶縁ワッシャーでシャーシと絶縁)。0.3A程度までの電流出力なので,シャーシによる放熱で十分。なお、写真ではシャーシ底面はよく映っていない。

 16ビットADCにした他に、以下の対策も行う。当初は16-bit ADCだけで十分と思われたが、装置のパワーを入れてから、しばらくたつと電流の読みが何も負荷をつないでなくても1mAから2mAを示す事に気がついた。この原因は計装アンプであるINA103の出力オフセット電圧が温度によって変動するためである。上の写真にあるようにINA103は+-20Vの電源電圧で使った場合はある程度発熱するため、ICの上に放熱器(写真で黒く見えるもの)を伝熱両面テープで貼付けてある。この放熱器の温度は装置のパワーオン後には28度Cからスタートして50度C程度まで上昇した(9月の温度環境で行った際)。この温度変動により、電流をセンスしているINA103の出力オフセットは0.3mV程度増加する。これによって16-bit ADCで読み取った電流値に0.2mAという変化が出てしまう。4-10の電源ではAVR内部の10-bit ADCを使っているため、これは問題にならなかったが、今回は温度補正を行う必要がある。INA103の温度は、その放熱器の上にサーミスターを伝熱テープで貼付けて行った。上の写真ではサーミスターを貼付ける前に撮ったので、それは映っていない。下の写真にサーミスターの貼付後を示す。

denen15v_23


 サーミスターによる温度読み取りは10-bit精度でもよいので、AVRのADCを使う。改造部の回路をPDFで添付する。なお,電源部の回路は4-10のものと同じである。これらを制御するBASCOMのソースを添付する。4kB以下に収まるので、フリーのBASCOMでコンパイルできる。いろいろ補正するパラメーターは増えたが、電流電圧計の表示スピードはそれほど遅くならなかった。温度補正の要点は、サーミスターで読み取った温度から、INA103のオフセット変動を計算し、それを補正する。これにより、電流の精度は0.1mAに収まる。また、電圧も16-bitで変換しているので、0.01Vの精度となる。

 使用した抵抗類は炭素皮膜型なので、これらを金属皮膜型にすれば、もう少し確度が出ると思われるが、そこまではしていない。また、ADCのVCCはデジタルのVCCから取っており、アナログ用のAVCC(AVRのAVCCに入っているライン)からは取っていないので、別のBASCOMプログラムを作ってADCの読み取り値をモニターしてみると0.01mAや0.001Vのオーダーでふらついている。ただし、実際の表示は0.1mAと0.01Vまでしか表示していないので、それらは実用上問題となっていない。加えて、ADCのVref (VDD)も5V3端子から取るのではなく,ちゃんとしたVrefを与える方が良い。以上に述べたように、電流電圧計の精度をさらに向上させる際は上記の対応が必要であるが,現在のままでも実用上十分であった。なお、AD変換のふらつきを抑えるには、表示が少し遅くなってもよければ、数十回、AD変換して、それらの平均値をとると行った手もある。また、精度を上げた際は液晶表示を8文字ではなく16文字にする必要がある。そうしないと表示の桁溢れが出てしまう。今回はコンパクトに作るために8文字2行の液晶を使ったので,表示の桁数も限られている。

 ATtiny861でSPIインターフェースのADCを使う際には以下の注意が必要である。Tiny861のマニュアルにあるピンの機能表示を見ると、SCK, MISOなどが記されており、あたかもHardware SPIが使えそうに見える。そこでConfig SPI = HardとBASCOMで定義するとエラーが出る。(エラーの際には訳の分からないエラーメッセージが出るので,その原因の解明に非常に手間取った。)この原因は、Tiny861ではSPIはUSI (Universal Serial Interface)というハードを兼用して対応しているためであり,純粋にSPIハードではないため、エラーとなる。すなわち、USIを使用するSPIに対してはBASCOMはConfig SPI = Hardをサポートしていない。したがって、SPI = Softとしてプログラムを書く必要がある(上に添付したBASCOMのソースを参照。)なお、USIを利用してハード的にSPIラインを制御する手法もあり、BASCOMのマニュアルのUSIの項に解説がある。(4-18章、220ペジあたりと、そこに紹介されているアプリケーションノート(ANxxx)。およびBASCOMに付属のexampleプログラム。)今回のADCの読み取り速度は遅くても良いので、SPIINとかのSPI関連命令を使えるSPI=Soft宣言を使った方が楽である。

 今回は16-bit ADCを2個使ったが、少し精度は落ちるものの、12-bit ADCを使う手もある。12-bit 2-channel SPIインターフェースのMCP3202(共立シリコンハウスにあり)を使った例のBASCOMソースを添付する。なお、電流電圧計にはしていないプログラムであり,単に,制御のやり方の参考になるソースである。MCP3202なら安いし入手性もよく,2チャンネル入りなので、1個で済む点などにメリットがある。

 BASCOMのプログラムで、Config SPI=Softなので、MISOやSCKの割当ピンはどのピンでもよいが、添付したプログラムでは、面倒なのでUSIがSPIに対応するハードの同じピンに割り当ててある。なお、MCP3202の場合はAD7680とは異なり、MOSIピン、またはそれに対応するピンも使う必要がある。 (添付したBASCOMのソースや、そこのコメント、およびMCP3202のマニュアルを参照)

注:4-6-2節に述べたように電流検出精度が少し大まかでよいのなら、計装アンプに5V or 3.3V単一電源のAD8207を使う方法もある。

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4-11 24Vまでの電圧で4〜5Aの出力が可能な軽量・小型・定電圧電源

 たまたまDCモーターの電源が必要になったので作成した。少し力の強いモーターの駆動が必要であったので、電流も2〜5Aが必要となり、電圧も12V〜24Vもいる。実験室にある、これに対応できる定電圧電源はけっこう大型で重く、実験机の上に置くと面倒であったので,自作する事にした。また、紹介する2つ目の電源ではmA精度で電流値をモニターできるので、いろいろな用途に便利である。なお、この電源はアナログ回路には向かないので(基本電源をDC-DCコンバーターでやっているため,スイッチングノイズ有り)、ノイズを嫌うアナログ回路用には4-10章のものを使用した方が良い。

4-11-1 24V、5A 電源

D24V5A

 小型軽量とするにはトランスを使わない。また、放熱器を小型軽量化する。そのためには,以下のようにする。
メインの電源には24V、6Aのスイッチング電源を使い、その出力電圧設定ボリュームを使って27Vあたりを出力し、それを可変シリーズレギュレーターで降圧して24V以下の電圧出力を得る。これにより,トランスを使うよりもそうとうに軽くなる。次に、 放熱器を軽量化するには、市販されているファン付きのCPUクーラーを使う。これにより、軽量の放熱器が可能となる。かつ、放熱器の温度によるファンの回転数制御もマイコン制御下で可能となり、靜音性が実現される。

 DCモーター用なので、電圧電流計はアバウトでよいと考えたのでアナログメーターとしてある。また、出力最小電圧は1Vぐらいでもよいので、簡単に可変電圧を実現できるLM338という3端子シリーズレギュレータを使った。これで1.25V〜24Vの5A可変定電圧電源となる。あとは、いかにしてLM338の5A, 1.25V出力時の発熱(約125W)を逃がすかである。放熱器にはCPU-Coolerで市販されているAsuraを使用した。(たまたま、店で見つけて、シャーシへの実装が容易と感じたため。)このクーラーは熱伝導パイプを使用しており,小型,軽量。そのファンはPWM制御で回転数を変えられ、かつ、靜音。PWM制御はマイコンのATTiny45で行う。(CPUクーラーのマイコン制御については、回路ページの10-2章も参照。)LM338に接触している放熱板に貼付けたサーミスターからの電圧をTiny45のADCで読み取り、温度値に変えてから、Tiny45のPWM制御でモーター回転数を変える。このCPUクーラーは放熱性に優れているので、5A出力時でもファンの回転数はあまり上がらず、ほとんど靜ずかなままである。このへんは市販されている24V、5Aを出せる大型の定電圧電源とは異なる。(これら電源では、常にブンブンとファンが回っていたりするし、放熱器もすごく大きいので重量級。)すなわち,最新技術であるヒートパイプや放熱器の発展などによって小型軽量で高効率の放熱が安価にできるようになった。(昔の大型放熱器+けっこううるさい高回転ファンの価格より安くなった。省エネでもある。)

 上記の写真では20V出力を4.7 ohm 50Wのメタルクラッド抵抗(共立電子に有り)に入れて、4Aの電流を流している。メタルクラッド抵抗は発熱するので写真のように放熱器の上に置く事。そうしないと,机を焦がしたり抵抗から煙が上がったりして危険である。写真のように4Aを流しても、ファンの音はほとんどうるさくなく,靜音性が保たれていた。

 回路図をPDFで添付する。LM338を使った簡単な回路である。回路図の2ページ目にはTiny45を使ったCPUクーラーのファンのPWM制御回路がある。これも簡単な回路である。サーミスター(10k ohm:共立にあり)はCPUクーラーの放熱器(本来ならCPUに接触するアルミ板)に熱伝両面テープで貼付けるか、ラグ板等を使って,少しテンションをかけて,放熱用グリスを塗って放熱板に接触させる。後者の場合、熱伝導率の良い絶縁性セラミックグリスを使用すると良い。(銀粒子型のグリスは電気伝導性が有るので薦めない。ショート等があり得る。)セラミックグリスは組み立てパソコン屋で売っている。
 Tiny45でやっているサーミスターからの温度検知でCPUクーラーファンの回転数を上げるPWM制御に関するBASCOMソースファイルを添付する。

 以下に実装に関する写真を示す。

D24V5A2

 CPUクーラー(Ashura)がシャシー内部の大部分を占めている。ファンの回転数があまり上がる事は無かったので,もう少し小型のクーラーでもよかった。右側はシャーシ裏面近くに縦に取り付けた24V 6Aのスイッチングレギュレーター。

D24V5A3

 クーラー底面。2本のネジで、ここのアルミ板(本来ならCPUに接触)とその下に引いた厚めのアルミ板との間にLM388を挟んでいる。機械的には余り信頼性が無いので、取り付け方としては次節(4-11-2)のクーラーを横にして取り付けた方が良い。

D24V5A4

 Tiny45によるファンモーターのPWM制御基板。基板左側に12Vから5Vを作る3端子レギュレーターが見える。電源系は以下のようになっている。1.スイッチングレギュレーターで27V 5Aを出力。これがLM388に入り、1.25V〜24Vの電源出力となる。加えて、27Vから12Vを作り、CPUクーラーのファンの電源とする。次に12Vから5Vを作り、Tiny45の電源とする。

 以上のようにして比較的、小型・軽量の24V 5A電源が出来る。

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4-11-2 24V、4A電源(デジタルパネルメーター付き。電流リミッター付き。0Vから可変。)

D24V4A

 上記の節の電源の改良型として、デジタルパネルメーター付きの定電圧電源の例を示す。上の写真で赤く光っているのはLED内蔵の出力ONを行うスイッチ(4-11節の写真に有るのと同様なスイッチで、LED が赤いだけ)写真では出力ON状態)。
 この電源の仕様は以下。0〜24Vまで可変。電圧計精度=0.01V、電流計精度=0.01A= 10mA。電圧調整ボリュームのfineを使えば0.01Vおきに出力電圧の設定が可能。電流リミッター=0.17A〜4Aまで可変。電流リミッタ範囲を写真の黒いスイッチで切り替えられ、スイッチを下で、0.17A〜0.93Aの範囲で約10mA分解能で設定可能。スイッチを上で、0.89A〜4Aの範囲で約100mA分解能で設定可能。なお、さらに小電流の電流リミッターが必要なら外部に電流制限抵抗を入れるか,定電流回路を入れる。
 この定電圧電源は、当然、ショートプロテクション付き。スイッチイング電源部でもかかるし、また、定電圧電源部でもかかる。
 筐体サイズは15cm (W) x 11.5cm (H) x 22cm (D)と小型で、装置の重量は約2kgと、小型軽量ながら、24V、4Aまでを出力できる。(市販の24V 4Aの電源は相当に重く、かつ大型。また、デジタルパネルメーターが付属でも、その分解能はそれほど良くない。さらに、電流リミッターの設定は、けっこう粗い。)

 回路図をPDFで添付する。A4、1ページにしたので、少し細部が見にくいが、細部はAdobe Readerの拡大ボタンを押せば、見る事が出来る。(また、確かReaderでは表示ウインド範囲のみをプリントできたと思うので、それを使って分割プリントしてください。)出力電圧を0Vからとするため、LM723を使っている。その回路の詳細は4-7節にある。回路図でmetal Rとあるのは金属皮膜抵抗である。

 この電流計は,これまで述べてきたINA103という計装アンプではなく,AD8207という計装アンプを使っている。INA103は電源電圧が+ー25Vまでであり、これだと24Vの電源ラインの電流センシング抵抗の両端の電圧差が測れない(各入力端子の電圧範囲は25ー3V程度になる)。また、+ー25Vの電圧供給方法も面倒になる。ここで、探してみるとAD8207という計装アンプがあった。電源電圧として+5V単一電源を供給時には、入力電圧は+65Vまで可能である。したがって、前節までで採用していたINA103計装アンプの代わりにこれを使えば、高い電圧ラインに挿入した電流センシング抵抗の両端の電圧差を5Vの単電源供給で計測可能となる。(INA103ではDC-DCコンバーターなどで+ー電源を作って供給する必要があった。)なお、INA103との違いとしては、AD8207のゲインは20倍固定であり、INA103の千倍までというゲイン可変性は有していない。(したがって、このままでは1mA以下の分可能は無理。)ただし、耐圧性が高いので,このAD8207を使えば+65Vまでのラインの電流計を作成できる。ゲインが足らなければ、その後にAD822等のRail-to-Rail OP-AMPで増幅すればよい。なお、さらに高電圧対応のAD8479(600Vまで、ゲイン=1倍)という計装アンプもあるようである。

 今回のデジタル型電流電圧計では上記のAD8207を5V電源で使い、その後のADCにはMP3202(Micorchip社)というSPIインターフェースの12-bit x 2チャンネルADCを使ってAD変換をしている。1mA精度を確保するためにはAVR内部の10-bit ADCでは分解能不足であるためである。4-10では16-bit ADCを使ったが,今回の分解能では12-bitで十分であり,入手性や価格を考えると上記の選択になった。(MP3202は共立に有り。)なお、AD8207の入手にあたっては、日本橋や秋葉原では売っていないので、Analog Devicesの代理店経由か、または、DigiKeyから入手可能。

 今回の回路ではデジタルパネルメーターの制御もかねてマイコンとしてATMega168を使い、これでCPUクーラーのPWMファンの制御も行う。4-11-1の5Aから比べて4Aと少し電流が少なくなったので、クーラーも小型のHyper TX3 EVOというものを使った。これにより、4-11-1節よりもさらに小型軽量となった。このケースでも、低い出力電圧で4Aを流して発熱量を最大としても、ファンの回転数は上がるものの、ほとんど靜音であった。(1V、4Aの場合、出力トランジスターでの発熱は約100Wとなり、これをCPUクーラーを使って放熱してやることになるが、最近のCPUクーラーは高性能なので、まったく問題が無い。もし、従来の大型放熱器と高回転ファンを使った場合は,相当に大型で重く、かつ、ファンもうるさくなってしまう。また、そのようなファンを回す電源も必要になり、装置も大型化し省エネでもなくなる。(100Wの半田ごてのコテ先温度を50度Cに放熱冷却することを考えてみれば,並大抵の事ではないことが分かると思う。)

 出力電圧範囲は0V〜24Vとし、LM723を使った定電圧電源としてある。この回路の基本形は4-7節に解説してある。それにプラスして、定電流制御回路も増設した例が本節の回路である。この電源ではMax4Aの電源ながら、170mAからの定電流制御も可能となっている。

 デジタルパネルメーターの表示器としては、この電源を使う用途でのノイズはあまり気にしないと想定して(最悪、数十mV程度)、視認性の良いOLEDディスプレイを採用した。

 以下,実装について写真付きで解説する。

D24V4A2

 シャーシ内の半分以上をCPUクーラーが占めている。4-11-1節とは違い、クーラーは横置きになっている。(横置きでもヒートパイプの働きで十分な性能を維持する。)従来の大型放熱器+高速ファン+その電源の合計よりは価格は安く出来、コンパクト、軽量、靜音にできるので、近年のこの技術発展を使わない手は無い。
 軽量化を図るために、トランスは使わず、24Vスイッチングレギュレーターを元電源とし、その出力電圧調整ボリュームをいじって、28V程度を出力するようにする。これをLM723の回路に入れて,電圧を24V以下に可変する。(4Vのdropを想定。)
 写真右下に見える茶色いプリント板にAVR (Mega168)、AD8207計裝アンプ、MP3202 2CH 12-bit ADCが乗っている。Mega168は、ヒートシンクの上に貼付けたサーミスターの温度をMega168の10-bit ADCで計測し、CPUクーラーのファンをPWM制御する事もやっている。
 写真の最も左側、CPU coolerの左下部にはLM723の負電圧電源用の小型トランス(0.1Aもあれば十分)が見える。(ファンの上部に渡してある紫色の2本の配線の左側接続先。)

 

D24V4A3

 最大に発熱するデバイスである出力トランジスター(回路図のQ1:共立デジットや秋月通商などで入手可能)をCPUクーラーの放熱板に取り付ける。ヒートパイプを損傷しないようにうまい位置に3ミリのネジ穴(タップを切る)を作り、トランジスター側に絶縁ブッシュを介して金属ネジがトランジスターの金属プレートに接触しないようにする。かつ、トランジスター下部の金属板とクーラーの放熱板(アルミ)が電気的に接触しないように絶縁性熱伝導シートを挟んで取り付ける。シートの両面には高熱伝導型のセラミックグリスを塗る。(そうしないと、ゴムシートだけでは熱伝導が不十分なため、トランジスターの発熱がヒートシンクには十分に伝わらず,熱を吸い取りきれない。)高熱伝導グリスには銀粒子の入ったものがあるが電気伝導が有るのでショートする可能性があり、絶縁型のセラミックグリスを使う事。セラミックグリスは組み立てパソコン屋で売っている。
 その他に、2番目に発熱する要素の10W 0.47 ohmの小型メタルクラッド抵抗(回路図のR17:共立に有り)もヒートシンクに元から有ったネジ穴を使って取り付けてある。

 

D24V4A4

 上記に解説したヒートシンク部の拡大写真を示す。パワートランジスターとメタルクラッド抵抗が取り付けられている。

 

D24V4A5

 ヒートシンク板の下にはLM723の回路基板がある(写真で中央下に緑色のユニバーサル基板が少し見えている)。電源をコンパクトにしたのでこのような実装になったが、そうとうに工作しにくい。実際はもう少し大きめのシャーシの方が工作しやすい。なお、シャーシが大きくなってくると外側のシャシー板が鉄製のものが多くなってくるが、軽量化のためには全部アルミで作られたものを使うのが良い。または、24Vのスイッチング電源に3Aタイプの小型のものを使えば,もう少しスペースに余裕が出る。(スイッチングレギュレーターは当初は3Aで行くつもりだったが、日本橋では4.2Aのものしか手に入らなかったので、4Aの仕様になった。3Aの小型のものはRS-Componentsを探すと有る。3Aを使う際は回路定数やBASCOMソフトの定数定義の変更が必要。)

 最後に、Mega168のソフトのBASCOMソースを添付する。MP3202 12-bit SPI ADCの制御や,読み込んだデーターから電流電圧値を計算し、それをOLEDに表示する部分、および、サーミスターで読み取ったヒートシンク温度からファンの回転数をPWM制御する部分などが含まれている。ファンの回転数を温度によってどの程度上げるかはファンによって違うので、今回使用したCPUクーラー(Hyper TX3 EVO)とは異なるものを使う場合はファンの仕様が異なったりするので、調整(ソフト内の定数の書き換え等)が必要である。

 この電源は精度が高いデジタルパネルメーター付きで、24V 4Aまでの出力が可能,かつ、比較的細かい電流リミッター調整も出来る。加えて小型軽量なので机の面積も占めず、靜音であり、使い勝手が非常に良い。0〜24Vの電圧で大電流が必要なパワー系の実験で重宝している。

 

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4-12 モバイル簡易電源

 ちょっと実験場所に持っていくためのデジタル回路用電源を試作した例を示す。電池駆動型であり、小規模のデジタル回路につないで、ちょっとした実験を行う際に便利である。また、机の上に置いておいても小型でかさばらない。3つの例を示す。全てにデジタル型パネルメーター(電流電圧計)が実装されているので、つないだデジタル回路がどの程度電流を消費しているかがすぐにモニターできる。

4-12-1 デジタル回路用の簡易なモバイル電源

BriefD1

 単3乾電池1本(1.5V)からデジタル回路用の3.3V出力をStrawberry-LinuxのTPS61200モジュール(小型DC-DC昇圧モジュール)を使って得る。電池はNiH充電池でもよい(1.2V:その場合は,電流量が上がる)。3.3V出力が得られるので、それを使ってマイコンと液晶(Strawberry-Linuxの低電圧I2C液晶)により、デジタルパネルメーターを構成する。(これらモジュールや液晶は、大阪では共立電子などで入手可能。)マイコンと液晶で,約数mAを消費するが、3.3V出力はパワーオン時にはMax40mA、先に電源モジュールをONしておいてその後に負荷を与えた場合はmax100mA程度の出力が可能である。パワーオン時にmax40mAなのは、TPS61200の特性で、初期の起動時に突入電流が1A以上流れて、電池の電圧がドロップして立ち上がらなくなるケースがあるためである。(それを流し切るだけ電池が元気なら,立ち上がる。)ただし、DC-DCが立ち上がった後に負荷のスイッチがオンになる場合は100mAでも大丈夫。なお、このへんの負荷へのオンに関する対応は4-12-2節の回路を使えば解消できる(ただし、回路は少し複雑になる)。回路図をPDFで添付する。

 写真でVb = とあるのは、電池電圧。電池の減りをモニター。

 デジタルパネルメーターの制御は、たまたま、余っていたATMega168を使用した。I2Cラインの制御はMega168にあるハードウエア制御であるTWI ( = Hardware I2C)を使った。なお、Mega168はADCの増幅器や差動ラインを有していないので、ベストなマイコン選択はATTiny861であり、その詳細は次節に続く4-12-2節や4-12-3節を参照。本節の回路ではMega168のADC部分がゲインアンプを有していないので、電流分解能は3mA程度となっている。あまり電流分解は良くないが、ちょっとした回路の実験には十分であると思われる。(回路図にある定電圧基準 ICであるLM385-2.5 (2.5V)は共立電子やマルツに有り。)

 DC-DCモジュールから出力への経路には470uHのLを入れてある。これはDC-DCコンバーターのスイッチングノイズが出力へ伝搬するのを防いでいる。(したがって、本電源はアナログ回路用には向かない。)470uHのインダクターは100mAの出力電流を流すので、200mA許容電流のものを使った。Strawberry-LinuxからはいろいろなDC-DCモジュールが出ているが、筆者が試したところ、このケースではTPS61200が一番スイッチングノイズの発生が少なかったので、これを使用している。なお、入力の電池電圧や出力負荷条件によって変わる可能性もあることを断っておく。

 本電源におけるパネルメーターのMega168のBASCOMソースコードを添付する。

 I2C液晶のソフトウエアによる制御にはBASCOMのバグが有り、上位の回路ページ(このページの末尾にリンク有り)の7-0章内の(12)を参照。この対応をしないと,液晶は正しく動作しない。

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4-12-2 4-12-1の改良型モバイル電源

BDengen2

 上の写真は3.3V無負荷の例。写真でVb =1.6 とあるのは電池電圧(V)で、電池の減りをモニター。0.9Vを下回ったら、電池交換。AVRがこれを検知して、自動的にワーニング・メッセージを出すようにしてある。

 ATTiny861に内蔵された差動アンプと、突入電流による電池電圧の降下による起動ミスを防止するために出力スイッチにPower-MOSFETを実装した。このスイッチはDC-DCコンバーターの出力が安定した後にマイコンからONして,電源出力を出す。
 4-12-1節で述べた簡易型モバイル電源の改良型を示す。少し回路が複雑になっているので、簡単に作るには前節の方が良いが、ちゃんとした動作や、精度が良い電流値のモニターが必要な場合はこちらになる。出力電圧は3.3Vと5Vに対応。

 他のAVRとは違い、AtTiny861(461も同様)はADCの前段にゲイン付きの差動アンプを内蔵している。これを使えばINA103などの差動アンプを使用しないで高精度の電流検出が出来る。なお、差動アンプの検出点の電圧はAVRの供給電圧である3.3Vや5Vに限られてくる。この点がINA103や前出のAD8207とは異なる。今回の回路では3.3V動作で5Vの検出電圧ラインを入力するのでAVRのADCへの電圧を抵抗で分圧している(4-11-2節で紹介したAD8207と同様な方式を採用)。
 また、Tiny861は2.56VのInternal ADC reference voltage sourceも有している点がMega168とは異なる。したがって、4-12-1節で使った定電圧基準 ICであるLM385-2.5は不要となる。このようにTiny861は5V出力などの電流値検出に最適である。

 この方式では、差動アンプのゲインはソフトウエアで切り替えずに,ソフト指定で固定の20倍とした。トリマー抵抗VR1は無負荷時に差動アンプの出力が,ぎりぎりセロになるように調整する。電流検出抵抗はR5, R10, R11の並列で約0.4 ohm。
 この回路ではTiny861のADC0入力とADC1入力の差を取って20倍してAD変換するので、BASCOMではGetADC(&B001011)とすれば差動の20倍、(ADC0 - ADC1) x 20 の変換値を得る事が出来る。(ATtiny861のマニュアルの157ページにあるTable 15-4を参照。その他、なぜこう設定するのかもTiny861のマニュアルの15-13章以下を参照。)

 出力電圧はSW1(写真右上にある、灰色の小さなスイッチ)によって3.3Vと5Vの選択が可能。Strawberry-Linuxの、この液晶のHPにあるように、この液晶は5V供給でも使用可能。ただし,コントラストは3.3Vと比べて下がる。5V供給となった場合はそのように液晶のコントラストを設定するソフトとなっている。ただし、電源をオンした時のみソフトで判定するプログラムなので、SW1を切り替えたなら、電源を一辺切った後に再投入するようにする事。SW1は2回路なので、そのうち一つをAVRの入力に入れてスイッチがどちらに倒れているかを判別し,出力電圧を検出する。もう一つのSW1ラインはTPS61200モジュールの+5Vジャンパー端子をショートするかどうかの選択を行っている。(TPS61200モジュールのカタログを参照)

 パワーオン時の突入電流による電池電圧の降下による起動ミスを防止するためのPower-MOSFET(p-ch, Power-MOS IRLML6402:共立(多分、デジットの方))を実装している。AVRのソフトで2秒後にONする。

 I2C液晶のソフトウエアによる制御にはBASCOMのバグが有り、上位の回路ページ(このページの末尾にリンク有り)の7-0章内の(12)を参照。この対応をしないと,液晶は正しく動作しない。

 この電源の回路図をPDFで添付する。Tiny861のBASCOMのソースコードを添付する。

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4-12-3 高い出力電流が必要な場合の簡易型モバイル電源(アナログ回路にも適用可)

Bdengen3

 上の写真はNiH x 4の電池ボックスからの電圧を直接出力して10 ohmの負荷抵抗をドライブした例。電池は新しいので、5Vほどの電圧が出ている。

 前節では100mAまでの出力電流に対してのモバイル電源について述べたが、それ以上の電流量(例:500mA)などに対する対応は以下の方式となる。この場合、一般的には昇圧型では電流量的に無理なので、降圧型しかない。NiH x 4本の電池ボックス(スイッチ付き)を利用する。元の電池電圧は1.2x4 = 4.8Vなので、5V電源にはそのまま使用する。3.3V出力は、4.8Vを低ドロップ電圧型3端子レギュレータで降圧して出力。この電源はDC-DCコンバータを使っていないので,アナログ回路にも使える。また、電流もNiH電池の放電電流まで使える(Max.2A? 電池による)。電池ボックスのサイズは小型なので、モバイルに十分である。

 ただ電池をつなげるだけではしょうがないので、デジタルパネルメーターを付加する。3.3V出力に使うシリーズレギュレーターによってマイコン(Tiny861)とI2C液晶を動作させる。動作は前節4-12-2にあるのと同様に、電流検出では検出抵抗の両端の電圧差をTiny861内蔵のゲイン付き差動アンプ(ADCの前段にある)を使って増幅し、ADCで変換して電流値を計算する。ゲイン値はソフトで切り替えられるので、少ない電流値では高い増幅度で高い分解能、大きな電流値では低い増幅度で大きな電流値まで表示可能なように自動切り替えを行う。今回はTiny861内の差動アンプのゲインを32倍と8倍で切り替えている。(詳細は末尾に添付のソフトを参照。)トリマー抵抗VR1は無負荷時に差動アンプの出力が,ぎりぎりセロになるように調整する。32xと8xのゲインはGetADC(ADMUX0~4ビット)に加えて、ADCSRAレジスター中のADMUX5ビットも制御する必要があり、そのような対応をBASCOMソフトで行った。(ATtiny861のマニュアルの157ページにあるTable 15-4を参照。また、15-13章以降を参照。)その対応を行ったソフトは末尾に添付してある。

 この電源はいろいろ使えるので便利である。なにより、AC100Vへの接続が不要で、ヘビーな負荷にも対応可能であり、かつ、DC-DC方式でないのでアナログ回路にも使える。また、電池電圧の降下もパネルメーターでモニターできるので、電池が減ったのが分かれば,電池交換し、使い切った電池を再充電すればよい。

SW1は出力電圧(3.3V or NiH x4 = 約5V)を選択する。VCC input select jumperは3.3Vラインの入力がバッテリー入力端子から、そのまま来るのか、それともシリーズレギュレーターの出力から来るのかを選択。この節の回路は電源ソースに対して以下のようなソースを考慮しており、それらに対する以下のような選択が出来るようにしてある。(詳細は添付した回路図参照。)

Vin    SW1     ジャンパー  出力選択
5V    5V(+V)    +3.3V    ダイレクト5V(4.8V)出力。 AVR & LCD = 3.3V動作
5V    3.3V(VCC)   +3.3V    3端子レギュレーター 3.3V出力。 AVR & LCD = 3.3V動作
3.3V   +V      +V      ダイレクト3.3V出力。AVR & LCD = ダイレクト3.3V動作

I2C液晶のソフトウエアによる制御にはBASCOMのバグが有り、上位の回路ページ(このページの末尾にリンク有り)の7-0章内の(12)を参照。この対応をしないと,液晶は正しく動作しない。

 この電源の回路図をPDFで添付する。BASCOMのソースコードを添付する。

 

4-13 0〜20V出力、モバイル電源

dengen_dcdc0_20v

 単2乾電池3本(4.5V)から0〜20V出力を得る例。アナログ回路の電源にも出来るように、できるだけ低いノイズになるように回路を工夫してある。回路図をPDFで添付する。以下、回路図を元に動作を説明。電池の4.5VからStrawberry-LinuxのLM2733モジュール(小型DC-DC昇圧モジュール)を使って26Vを得る。DC-DCコンバーターの出力には多くのスイッチングノイズが含まれるので、このままではアナログ回路の電源としては使いづらい。したがって、パイ型のノイズフィルターを入れてノイズを除去する。その出力をIC1のLT3080に入れて、最大電流を110mAに制限する。(この利用法はLT3080カタログ18ページのラボ用電源にある。)その後、LT3080の定電圧電源構成で出力電圧を0〜20Vになるようにする。通常は1M ohmの電圧セット用可変抵抗を使うが、マニュアル17ページにある値の小さなセット抵抗の構成を使い、出力電圧が20V max.となるように容易に調整できるようにした。20V max.としたのは、LM2733モジュールが100mA出力電流で動作範囲内になるようにするため。(電池電圧を6Vにすれば、もうちょっと上げられる。)その後、アナログの電流計と電圧計を経由して出力される。(電圧出力が0Vからであるため、4-12章にあるようなデジタル型メーターを実装する場合は+−電圧を要する計装アンプのマイナス電源が必要となり(4-11章以前を参照)、少し面倒な設計となるので、今回はアナログ型メーターを使用した。アバウトな実験にはこれで十分である。)

 シャーシ内部の写真を以下に示す。実装サイズはほとんどパネルメーターと電池で決まっている。(デジタルパネルメーターや小型の電池を使えばもっと小型にできるが電池寿命とのトレードオフとなる。リチウムポリマーバッテリーを2個使って3.7V x 2 = 7.4Vとする手もあるが、少々、高価。なお、そのようにして、デジタル型パネルメーター(4-12章等参照)を付ければ、相当に小型軽量かつ高精度電流電圧計に出来る点はメリットがある。)

dengen_0_20DCDCtop


 その他の詳細は以下。SW1(パネル面、Illumination)は橙色LEDをONするスイッチ。このLEDでパネルメーターを照明する。LEDはメーター上部にあり、砲弾型LEDの上部をヤスリで削って、平面状としてある(砲弾型だとレンズ効果で光が進行方向に集まってしまう)。この集光されない光をアルミテープを裏に貼った絶縁テープでメーター方向に反射して照明をしている。(あまりきれいな実装ではないので、改良点としては、LEDに拡散キャップをはめて、全体にメーター方向も含めて拡散照明光を作ると良いかもしれない。拡散キャップはマルツにある。)
 次に、L4の青色LED(上記のパネル写真参照)であるが、このLEDの発光が始まる電圧は約2.8Vであり、このLED(Power-ON LED)で電池の消耗もモニター出来るようになっている。このPower-ON LEDがほとんど光らなくなれば、各電池は0.9Vの終端電圧(0.9x3=2.7V)に達してきているので、電池交換の時期が分かる。(6Vの電池電圧の場合は、LEDに直列にシリコンダイオードを順方向に2個を入れて、0.7V x 2 = 1.4Vをドロップすればよい。)
 次に、SW2(パネル面左下のGND Select)は中点で止まる3ポジションスイッチであり、このスイッチでシャーシGNDをどこに接続するかの選択を行える。パネル面の写真で、左に倒せばマイナス電圧出力が黒のGND端子に接続され、右に倒せば黒のGND端子は赤の+端子に接続されるので、マイナス電圧出力の電源となる。スイッチを中点にすれば黒の端子はシャーシGNDのみであり、フロート電源となる。このようにスイッチで切り替えるようにしたので、一般電源のように、いちいち電線で配線する必要がなくなるので便利である。
 電源出力のスイッチングノイズについて:パイ型フィルターでノイズ除去をしているが(ここで、Lの最大電流は100mA以上に対応していることが必要)、数十mV p.p.のノイズが出力に現れる。これを減らすために、電流計の出力側には47uFの高周波でも低インピーダンスの電解コンが接続されており(マルツ、千石、共立電子などにあり)、電流計のコイル分 L と組み合わせてLCフィルターを構成している。これにより、電流出力が50mAを越えてもスパイクノイズは+−20mV p.p. 以下となっている。なお、パイ型ノイズフィルターのC4も同様なコンデンサーにすればさらなるノイズ除去が可能と思われるが、そこまではしていない。追記: 回路図でパイ型フィルターのLの後に4.7 ohmの抵抗があるが、これはフィルターの低周波領域での共振を防ぐダンピング抵抗である。SPICEでシミュレーションした結果、このようにした。 回路基板部の写真を以下に示す。filter部がフィルターである。その中央の黒く丸いものがL。回路図にある0.01uFは基板の裏に実装。
 Filter部の左に見えている緑色の小さな基板はLM2733モジュール。

dengen0_20dcdc_PCB


 発熱について:IC2のLT3080定電圧ICは26Vの入力電圧から電圧をドロップして出力するので、その出力電圧が低い場合には、けっこう発熱する。従って、放熱器が必要。(設計では2〜3W程度を放熱できればよい。例としては上の写真参照。)次に、IC1の電流制限用LT3080(放熱器の左側に少し隠れて見えている)は、電流出力が設定の110mAを越えると急激に発熱する。もし、回路をショートさせていれば、電流計が100mAを振り切れるので、すぐに電源スイッチを切って確認すること。なお、放熱器をIC1に付けていれば、この心配はない。(今回の実装では小型基板を使ったので、面積制限で付けていない。)電流制限も出来る電源とする場合には大きな基板に実装して、IC1にも放熱器を付けること。次に、出力電流が50mAを越えてくるとLM2733モジュールにも発熱が見られるようになる。発熱している部分に小さなヒートシンクを両面熱伝導テープで貼り付けるのがよいかもしれない。(以上より、ノイズ等の問題もあり、今回の電源では出力電流を50mA以下で使った方が良い性能が得られる。)
 電池寿命:パナソニック製の赤いアルカリ電池(俗称、赤パナ。終電圧=0.9Vで見積もり。)で見積もった感じでは、100mA出力の連続運転で5〜10時間。電池電圧が下がってくると、急激にDC-DCコンバーターへの入力電流が増加するので、5時間ぐらいかもしれない。もちろん、10mA程度の出力では百時間以上もつので、普通の実験には十分であり、断続的使用で数ヶ月以上〜1年はもつと思われる。 前述したように電池が減ると青色LEDが光らなくなるので、電池交換の時期はすぐにわかる。

 以上のように、この電源は4-12章の電源と比べて出力電圧を高くとれるためにトランジスター回路などのアナログ回路にも使え、ちょっとした机上の実験に便利である。(なお、ローノイズの電源としては4-9章や4-10章の方が良い。)また、AC100Vの無い場合に使えるというモバイル性もある。さらに、フロート電源として高電圧に重畳して、ある電圧を加える場合にも使える(注:その場合にはSW2の耐圧を考察する必要がある)。

 p.s. 電流計の内部抵抗により、100mA出力時に出力電圧が20Vより1Vほど下がる。最大電圧設定トリマーVRを調整しておけば20Vまで可能。なお、その場合は、電流量が小さい場合は最大電圧は21V程度となる。

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