中山 正昭 (Masaaki Nakayama)


Masaaki Nakayama, Dr.
Professor
Laboratory of Optical Properties and Functions of Codensed Matters
Department of Applied Physics, Graduate School of Engineering
Osaka City University
(Email) nakayama@a-phys.eng.osaka-cu.ac.jp

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    大阪市立大学大学院 工学研究科電子情報系専攻応用物理学教室
    
    大阪市立大学 工学部 応用物理学科
    
    光物性工学分野 
    
    教授  理学博士
    
    中山正昭  
    
    1956年(昭和31年)生
    
    
    
     座右の銘: 真理はあなたがたを自由にする。
    
              (新約聖書ヨハネの福音書8章32節)
    
    




    学生達への伝えたいこと(自分自身への戒めでもある): 研究は、自分自身の価値観を表現する場であり、論文はその結晶である。 実験は、自然・物質に対する問いかけであり、その応答を知るためには、 心の素直さと、理論に裏打ちされた研ぎ澄まされた感性を絶えず持たな ければならない。
    
    連絡先    〒558-8585 大阪市住吉区杉本3-3-138
    
              tel&fax: 06-6605-2739
    
              nakayama@a-phys.eng.osaka-cu.ac.jp



    
    研究テーマは、大きく分けて「半導体超格子の光物性」と「I-VII族(アルカリハライド、
    
    銅ハライド)薄膜とZnO薄膜の励起子光物性, シンチレーション機能」の2つを対象としている。
    
    後者に関しては、「超格子の光物性」に関する記述(かなり長いものですが)の後に記している。
    
    
    
    
    
    

    半導体超格子の光物性

     半導体超格子とは、異なる種類の半導体超薄膜(数Å〜数100Å)の周期積層構造の総称であ り、原子配列を人工的に制御した結晶と言うべきものである。結晶中の電子・正孔、フォノン、 励起子などの素励起は、結晶の原子配列ポテンシャルの大きさや幾何学的対称性によってその 特性が決定されている。したがって、超格子では、原子配列の制御によって素励起の物性を制 御することが可能であり、基礎物性とデバイス応用の両面において世界的に盛んに研究が行わ れている。  当研究室では、多様な構造の超格子における電子・正孔量子化状態、励起子状態、フォノン 状態を光物性の立場から明らかにし、超格子における物性制御(設計)の基礎を確立すること を目的としている。超格子の概念は、1970年に江崎玲於奈先生とR.Tsu博士(IBM)によって提 案され、既に30年が経過しているが、我々を魅了する物性と素子機能が今尚その物理の中に有 る。  私個人の超格子研究の歴史としては、1983年に関西学院大学理学部における分線エピタキシ ー法による結晶成長と超格子のフォノンラマン散乱の研究から始まっている。その詳細は 【大阪市大以前の研究の経緯(1983年〜1988年:関西学院大学理学部)】に記している。 【内容】 (1) 電子・正孔空間分離型(タイプ-II)超格子における励起子  層厚が約3.7nm(13原子層)以下のGaAs/AlAs超格子では、量子閉じ込め効果によって、伝導帯 の最低エネルギー状態がGaAsのΓ点からAlAsのX点に移行する(Γ-Xエネルギー準位交差)。 正孔の最低エネルギー状態は、どのような場合でもGaAsのΓ点であるので、電子と正孔が、そ れぞれAlAs層とGaAs層に空間分離したエネルギー構造が形成される(タイプ-IIバンド構造と呼 ぶ)。また、GaAs/AlAs系の場合、運動量空間においても間接遷移型であり、自然界の結晶では 全く実現されえない電子・正孔エネルギー構造となっている。以下に、研究テーマの細目と発 表論文を記す。 [解説] * Excitonic processes in GaAs/AlAs type-II superlattices: J. Luminescence 87-89, 15 (2000). 1999 International Conference of Luminescenceにおいて行った基調講演をまとめたもの であり、タイプ-II超格子の励起子、励起子分子に関する研究の進展を解説している。 (a) 励起子発光特性によるΓ-Xエネルギー準位交差とX電子共鳴 最も一般的な超格子系であるGaAs/AlAsにおいて、どの程度の薄い層厚まで直接遷移型であるか ということが1970年代末から1980年代において議論の的であった。1985年頃までは、2原子層 (0.56nm)まで直接遷移型であるということが主流を占めていたが、分子線エピタキシー法( MBE法)による単原子層制御結晶成長(後述の「関西学院大学在職中の研究」を参照)の実 現と、詳細な発光特性の研究から、上記のΓ-Xエネルギー準位交差(タイプ-II超格子への移 行)が明らかとなった。 * Γ-X crossover in GaAs/AlAs superlattices: Solid State Commun. 70, 535 (1989). * Photoluminescence spectra of (GaAs)12/(AlAs)12 superlattice under high pressure: J. Phys. Soc. Jpn. 58, 2242 (1989). * Photoluminescnce properties of GaAs/AlAs short-period superlattices: Jpn. J. Appl. Phys. 29, 41 (1990). * Anisotropic properties of photoluminescence in a GaAs/AlAs type-II superlattice: Solid State Commun. 76, 217 (1990). * Photoluminescence detection of the X-electron resonance in a GaAs/AlAs type-II superlattice Phys. Rev. B 58, 7216(1998). (b) タイプ-II励起子遷移振動子強度に対するΓ-X波動関数混成効果 AlAs-X電子とGaAs-Γ正孔から形成されるタイプ-II励起子の光学遷移機構について、光学特性 とΓ-X波動関数混成理論の観点から明らかにした。 * Γ-X mixing effects on photoluminescence intensity in GaAs/AlAs type-II superlattices: Solid State Commun. 88, 43 (1993). * Γ-X mixing effects on pseudodirect excitons in GaAs/AlAs type-II superlattices: Phys. Rev. B 49, 13564 (1994). (c) タイプ-II励起子分子形成 電子・正孔が空間分離された状態での励起子分子形成に関しては、下記の論文が初めてその存 在を報告したものである。 * Biexciton formation in GaAs/AlAs type-II superlattices under exteremely low excitation power: Phys. Rev. B 51, 7870 (1995). * Pseudodirect biexcitons in GaAs/AlAs type-II superlattices: IL Nuovo Cimento 17D, 1629 (1996). * Type-II biexcitons in GaAs/AlAS short-period superlattices: Physica E 2, 340 (1998). (参考)Type-II励起子分子の束縛エネルギーに関しては、土家琢磨博士(JAIST)の量子モン テカルロ法による精密な計算結果が報告されている。 T, Tsuchiya & S. Katayama; Physica B 249-251, 612 (1998) (d) タイプ-II励起子束縛エネルギーの理論計算 タイプ-II励起子の研究を行っていて、励起子束縛エネルギーが理論的に決定されていないこ とが不満に感じ、独自に計算できないかと思い立ち理論的な研究を行った。 * Flexible approach to exciton binding energies in type-I and type-II quantum wells: Phys. Rev. B 53, 1485 (1996).  変分計算であるが、従来のような固定化された水素原子型試行関数を用いず、励起子包絡関  数をガウス関数展開し、その展開パラメータを数値計算で決定するという方法を提案した。  GaAs/AlAs系を対象に、励起子束縛エネルギーと励起子包絡関数に関する計算を行い、Type-I, Type-IIどちらにも柔軟に適用できる計算方法であることを示した。 * Binding energies and envelope functions of light-hole excitons in GaAs/InxGa1-xAs strained quantum wells: Phys. Rev. B 54, 10312 (1996). GaAs/InGaAs歪み超格子では、格子不整合歪みによって価電子帯のポテンシャル構造が大きく 変わり、軽い正孔励起子と電子はタイプ-II励起子を構成する。上記の計算方法を、この系に 適用して励起子状態の計算を行った。 (e) タイプ-II系における電子・正孔液滴の安定性に関する理論計算 電子・正孔液滴はSiやGeなどの間接遷移半導体において良く知られているが、量子井戸・超格子 系では、未だにその詳細は明らかになっているとは言えない。我々は、この問題に関して、理論 的な提案を行った。 * Stability of electron-hole plasma in type-I and type-II GaAs-GaAlAs single quantum wells: Phys. Rev. B 69, 165316 (2004).  (f) タイプ-II励起子系のBose-Einstein統計性 近年、励起子系のボース凝縮が話題を集めている。下記の論文は、GaAs/AlAsタイプ-II超格子 の励起子-励起子分子系において、「Bose-Einstein統計性」が発現することを、時間分解発光 スペクトルの解析から明らかにしたものである。これは、励起子寿命が長く(μsオーダー)、 光励起後の励起子系の冷却効率が極めて高いというタイプ-II励起子の特徴を利用したもので あり、励起子研究の歴史において意義あるものと思っている。 * Evidence for quantum statistics of the exciton-biexciton system in a GaAs/AlAs type-II superlattice: Phys. Rev. B 63, 195316 (2001). * Boson chracteristics of the exciton-biexciton system in a GaAs/AlAs type-II superlattice: J. Lumin. 94-95, 379 (2001). * Qunatum-statictics bahavior of the exciton-biexciton system in GaAs/AlAs type-II superlattices: Phase Transitions 75, 979 (2002). * Control of Bose-Einstein-statistics behavior of the exciton-biexciton system in a GaAs/AlAs type-II superlattice: Nonlinear Optics 29, 203 (2002). * Bose-Einstein statistics behaviors of exciton-biexciton photoluminescence decay processes in a GaAs/AlAs type-II superlattice: Physica E 21, 651 (2004). (2) 超格子におけるワニエ・シュタルク(Wannier-Stark)局在状態とFranz-Keldysh振動  ポテンシャル障壁層が薄い半導体超格子では、量子井戸間の共鳴トンネル効果によって電子 ・正孔波動関数が超格子全体に展開し、超格子のミニブリルアンゾーンにおいて、ミニバンド 分散状態が形成される。そのような超格子の積層方向に電場Fを印加すると、量子井戸間の静 電ポテンシャル差eFDによって、共鳴トンネル条件が破綻し、波動関数が局在化する。また、 エネルギー準位は、ミニバンド状態が分裂し、eFDで量子化されたStark階段状態が形成される。 この現象をWannier-Stark局在と呼び、Bloch振動と関連した現象である。次元性の観点では、 3次元状態であるミニバンドから、準2次元状態であるWannier-Stark局在状態への変化に相当 し、電場による電子状態の次元性の制御という自由度を我々に示している。以下に、研究テー マの細目と発表論文を記す。 [解説と著書] * 半導体超格子におけるワニエ・シュタルク局在状態とその共鳴:  日本物理学会誌47, 391 (1992). * Optical Properties of Low-Dimensional Materials (World Scientific, Singapore, 1995) ed. by T. Ogawa and Y. Kanemitsu; Chap.3 "Wannier-Stark localization in semiconductor superlattices" pp.147-201. 超格子におけるWannier-Stark局在状態に関する解説書:超格子の基礎から、Wannier-Stark 局在の物理、光物性、デバイス応用までを詳細に解説している。超格子における電場効果に 興味の有る方は是非ご一読下さい。 (a) 電場変調反射分光法によるWannier-Stark局在状態の高感度検出と伝達マトリックス法によ る固有状態の計算 * High sensitivity of electroreflectance to Stark-ladder transitions in a GaAs/AlAs superlattice: Solid State Commun. 77, 303 (1991). * Electroreflectance and transfer-matrix analysis of Stark-ladder transitions in a GaAs/AlAs superlattice: Surface Sci. 267, 426 (1992). (b) Wannier-Stark局在状態が形成される臨界電場 * Critical electric field for Stark-ladder formation in a GaAs/AlAs superlattice: Phys. Rev. B 48, 2787 (1993). (c) 空間的に隔てられたWannier-Stark局在状態の共鳴結合 このWannier-Stark局在状態の共鳴結合は、正に典型的な量子力学的現象であり、波動関数の 混成と共鳴空間での非局在化、エネルギーの反交差(anticrossing)という現象が明確に観測さ れ、それを上記の伝達マトリックス法を用いて理論的に明らかにした。 * Electroreflectance detection of resonant coupling between Wannier-Stark localization states: Phys. Rev. B 44, 5935 (1991). * Electroreflectance intensity for resonant coupling between Wannier-Stark localization states in a GaAs/AlAs superlattice: Phys. Rev. B 46, 7565 (1992). * Resonant coupling between Wannie-Stark localization states of holes in a GaAs/AlAs superlattice: Proc. 21st Int. Conf. on Physics of Semiconductors (World Sicentific, 1993) p.979. * Resonant coupling between Wannier-Stark locaization states and buried single quantum states in a GaAs/AlAs superlattice: Solid State Electronic. 37, 863 (1994). * Wavefunction delocalization of strongly-localized Stark-ladder states in a GaAs/AlAs superlattice: Solid State Electronics 42, 1499 (1998). (d) ポテンシャル障壁上ミニバンド状態のWannier-Stark局在 * Electric field effects on above-barrier states in a GaAs/AlxGa1-xAs superlattice: Phys. Rev. B 51, 4236 (1995) (e) 超格子におけるFranz-Keldysh振動  Franz-Keldysh(FK)振動は、バルク半導体における電気光学現象として良く知られているが、 超格子のミニバンド状態におけるFK振動は、ほとんど研究されていない。超格子におけるFK振 動は、無電場状態のミニバンド(波動関数が共鳴トンネル効果によって超格子空間に展開され た状態)からWannier-Stark局在状態に移行する過程(低電場領域)で生じる。我々は、変調反 射分光法[電場変調反射(Electroreflectance)及び光変調反射(Photoreflectance)]によるFK 振動の検出と、それに基づくミニバンド有効質量の推定、及び(2)で述べたWannier-Stark局在 状態への以降過程について研究を行っている。 * Miniband structures and effective masses of GaAs/AlAs superlattices with ultra-thin AlAs layers: Solid State Commun. 102, 803 (1997). この論文は超格子のミニバンド有効質量を分光学的に明確に決定した初めての報告である。 * Franz-Keldysh oscillations at the miniband edge in a GaAs/AlxGA1-xAs superlattice: Superlattices & Microstructures 22, 460 (1997) * Franz-Keldysh oscillations at the above-barrier miniband in a GaAs/AlxGA1-xAs superlattice: Superlattices & Microstructures 25, 61 (1999) (f) Wannier-Stark局在効果によるタイプ-Iからタイプ-IIへのクロスオーバー * Electric-field-induced combination of Wannier-Stark localization and type-I-type-II crossover in a marginal type-I GaAs/AlAs superlattice: Phys. Rev. B 61, 7505 (2000). (3) 超格子の電子状態に対する格子歪み効果(歪み超格子)  (Al,Ga)As系以外のほとんどのヘテロ接合系では、無視できない格子不整合が存在する。エ ピタキシャル成長された超格子では、格子不整合は、超格子各層の歪みに転化され、それによ って超格子ポテンシャルが変調を受ける。特に、正孔ポテンシャルは、歪みが無い状態で縮退 していた重い正孔と軽い正孔ポテンシャルが分裂し、歪み超格子特有の正孔状態が形成される。 我々は、GaAs/InxAl1-xAs, InAs/GaAs歪み超格子を対象として研究しており、最近では、歪み 超格子におけるΓ-X電子間共鳴、Γ正孔間共鳴に関する研究をATR環境適応研究所と共同で行っ ている。 (a) 歪み超格子における電子・正孔量子状態の基礎特性 * Photoreflectance study of hole-subband structures in GaAs/InxAl1-xAs strained-layer superlattices: J. Appl. Phys. 72, 2372 (1992). * Hole-subband-order reversal in GaAs/InxAl1-xAs strained-layer superlattices investigated by photoreflectance spectroscopy: Superlattices and Microstructures 12, 333 (1992). * Optical properties of (InAs)1/(GaAs)m strained-layer superlattices: Jpn. J. Appl. Phys. Suppl.32-1, 160 (1993). * Photoreflectance study of folded above-barrier states in (InAs)1/(GaAs)m strained-layer superlattices: Superlattices and Microstructures 17, 31 (1995). (b) 歪み超格子におけるサブバンド間共鳴現象 * Photoluminescence from the barrier-X state in GaAs/InAlAs strained superlattices under applied-bias viltage: Phys. Stat. Sol.(b) 204, 187 (1997). * Influence of Γ-X resonance on photocurrent-voltage characteristics in GaAs/InAlAs strained superlattices: Jpn. J. Appl. Phys. 37, 1650 (1998). * Influence of strain effects on hole-subband resonances in GaAs/InAlAs superlattice: Appl. Surface Sci. 142, 633 (1999). * Light-hole Stark-ladder photoluminescence induced by heavy-hole-light-hole resonance in a GaAs/InAlAs superlattice: Physica B 272, 198 (1999). (4) 超格子におけるポテンシャル障壁上ミニバンド状態  半導体超格子においてミニバンド状態が形成されることは自明のことであるが、これまでの ほとんどの研究は、ポテンシャル障壁よりもエネルギーが低い状態のみを対象としている。 我々は、超格子のポテンシャル障壁上ミニバンド状態を実験的に検出し、そのエネルギー状態 を決定する要因を明らかにすることを目指している。 * Photoreflectance and resonant Raman scattering of above-barrier transitions in a GaAs/AlGaAs superlattice: Jpn. J. Appl. Phys. 34, Suppl.34-1, 80 (1995). * Electric field effects on above-barrier states in a GaAs/AlxGa1-xAs superlattice: Phys. Rev. B 51, 4236 (1995) * Photoreflectance study of folded above-barrier states in (InAs)1/(GaAs)m strained-layer superlattices: Superlattices and Microstructures 17, 31 (1995). * Franz-Keldysh oscillations at the above-barrier miniband in a GaAs/AlxGA1-xAs superlattice: Superlattices & Microstructures 25, 61 (1999) (5) 半導体超格子におけるコヒーレントフォノン  半導体超格子では、そのミニブリルアンゾーンにおいて音響フォノン分散が折り返され、超 格子特有の折り返しフォノンモードが形成されることは、既に明らかになっている。折り返さ れた音響フォノンを超短(フェムト秒)パルスレーザーで励起することにより、THzオーダーの コヒーレントな分極振動が生じる。この現象は、THz電磁波発生という最先端研究とも関連して おり、筑波大学物理学系・舛本研究室、大阪大学工学部・中島研究室と共同研究を行っていた が、2000年度に、当研究室においてフェムト秒パルスレーザーシステムが整備でき、溝口助教授 と共に積極的に研究の展開を行っている。 * Coherent oscillation of zone-folded phonon modes in GaAs/AlAs superlattices: Phys. Rev. Lett. 73, 740 (1994).  超格子におけるコヒーレントフォノンに関する初めての報告である。 * Observation of coherent acoustic phonons in Fibonacci superlattices: Phys. Rev. B 55, 9336 (1995). * Coherent dynamics of zone-folded acoustic phonons in GaAs/AlAs superlattices: J. Luminescence 76&77, 564 (1998). * Resonance effect of coherent folded acoustic phonons generated by ultrashort light pulses in GaAs/AlAs superlattices: Physica B 249-251, 887 (1998). * Study of coherent folded acoustic phonons in semiconductor superlattices by pump- probe technique: Physica B 263-264, 48 (1999). * Simultaneous observation of coherent GaSb-like and AlSb-like longitudinal optical phonons in GaSb/AlSb superlattices: J. Phys. Soc. Jpn. 70, 2598 (2001). * Finite-size effects on coherent folded acoustic phonons in GaAs/AlAs superlattices: J. Phys.:Condens. Matter 14, L103 (2002). * Effects of a miniband structure on coherent LO phonon-plasmon coupled modes in an (InAs)1/(GaAs)30 strained-layer superlattice: Physica B 314, 422 (2002). * Coherent folded acoustic phonons in GaAs/AlAs superlatices with limited periodicity: Physica B 316-317, 308 (2002). * Umklapp processes in observation of coherent folded longitudinal acoustic phonons in a GaAs/AlAs long-period superlattice: Physica E 21, 646 (2004). 【新たな展開】励起子量子ビートとコヒーレントLOフォノンの結合 これまでのTHzコヒーレント現象の研究は、電子系の励起子量子ビートとBloch振動、そして、 フォノン系のコヒーレントフォノンというように、個別の現象として取り扱われてきた。 我々は、「励起子量子ビートとコヒーレントLOフォノンが分極相互作用により結合する」と いう新たな概念を提案し、それを実証した。これは、LOフォノン増幅という現象にも関連し、 THzコヒーレント現象の新局面を拓くものであると考えている。 * Coupling of coherent longitiginal optical phonons to excitonic quantum beats in GaAs/AlAs multiple quantum wells: Phys. Rev. B 68, 155325 (2003). * Enhancement of coherent LO phonons by quantum beats of excitons in GaAs/AlAs multiple quantum wells: J. Lumin. 108, 195 (2004). (6) 超格子におけるサブバンド間遷移発光:新たな中赤外領域発光素子を目指して Bell研のFaistらによって1994年に発表された量子カスケードレーザー(Quantum Cascade Laser) は、サブバンド間遷移を利用した発光素子であり、近年、物性と素子応用の両面において注目を 集めている。サブバンド間発光の波長は、様々な気体分子の振動吸収が生じる中赤外領域にあり、 環境センシングにおいて有効な素子となりうる。 ATR環境適応通信研究所と共同で、サブバンド間遷移発光に関する研究を展開しており、下記の 論文は、X電子サブバンドからΓ電子サブバンドへのキャリア注入過程を利用する新たな機構を 提案するものである。 * Intersubband electroluminescence using X-Γ carrier injection in a GaAs/AlAs superlattice: Appl. Phys. Lett. 77, 848 (2000). * Photoluminescence from high Γ-electron subbands and intersubband electroluminescence using X-Γ carrier injection in a simple GaAs/AlAs superlattice: Jpn. J. Appl. Phys. 41, 5073 (2002). (7) その他の主要論文 * Interference effects on photorefelectance line shapes of excitons in GaAs/AlAs superlattices: Jpn. J. Appl. Phys. 29, L1760 (1990). * Raman scattering in long-period superlattices of GaAs, AlAs and GaAlAs layers: Phys. Rev. B 41, 5221 (1990). * 半導体ヘテロ界面の非破壊評価技術:ラマン分光法 応用物理学会誌 59, 1085 (1990). * Incident-photon energy dependence of Raman-scattering profiles by folded acoustic phonons in GaAs/AlAs superlattices: Phys. Rev. B 47, 9566 (1993). * Polarization choices in exciton-biexciton system of GaAs quantum wells: Phys. Rev. B 55, 1654 (1997). * Observation of Γ-X resonances in type-I GaAs/AlAs semiconductor superlattices: Phys. Rev. B 55, 13689 (1997). [プロファイルに戻る] /////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////// 【大阪市大以前の研究の経緯】《1983年4月〜1988年3月(関西学院大学理学部において)》 (I) 分子線エピタキシー(MBE)法による半導体超格子・量子井戸の結晶成長  1983年当時、我が国ではMBE装置は非常に限られたものしかなく、世界的にもその結晶 成長技術は確立されていなかった。関西学院大学理学部では、山田科学財団の援助によって、 MBE装置を導入し、半導体超格子・量子井戸の結晶成長と物性研究がスタートした。  MBE法に関する研究において特筆すべきことは、1984年2月に、世界に先駆けて単原子 層制御結晶成長技術を開発したことである。この方法は、結晶成長中に反射型高速電子線回 折(RHEED)強度の振動をモニターし、その振動周期(1原子層の結晶成長時間に対応する) に同期させてMBE装置のシャッター制御を行うというものであり、今では常識的に広く用 いられている。この技術を確立した後は、まるでプラモデルでも作るかのように様々な構造 の超格子・量子井戸の結晶成長が可能となった。ただし、デリケートなMBE装置の故障と いう問題には常に悩まされたが。  関西学院大学在職中(身分は実験助手:国立大学の助手と技官の中間に相当する職)の5 年間に、加藤弘博士と共に、約1200種類の多種多様な超格子・量子井戸のMBE成長を行っ た。私自身の青春は、その中に消え去ってしまったが、当時の試料の一部は今尚研究のベー スとなっている。 * Mono and bi-layer superlattices of GaAs/AlAs: Jpn. J. Appl. phys. 23, L640 (1984).  MBE法による単原子層結晶成長の記念碑的論文。 * X-ray studies of semiconductor superlattices grown by molecular-beam epitaxy: J. Phys. Soc. Jpn. 54, 2476 (1985). * Lattice distortions in GaAs-AlAs and GaAs-InAs superlattices: Surface Sci. 174, 592 (1986). * X-ray study of misfit strain relaxation in lattice-mismatched heterojunctions: Appl. Phys. Lett. 49, 1071 (1986). * X-ray diffraction analysis of buffer-layer effects on lattice distortions of strained- layer superlattices: J. Appl. Phys. 62, 1124 (1987). * Growth and characterization of InAs/In1-xAlxAs strained-layer superlattices: J. Appl. Phys. 62, 2057 (1987). * X-ray diffraction patterns of configurational Fibonacci lattices: J. Phys. Soc. Jpn. 57, 2416 (1988). (II) 超格子のフォノンラマン散乱  1983年当時、超格子のフォノンラマン散乱の研究は世界的に黎明期であった。上記の単原 子層結晶成長技術の確立によって、高精度に構造を制御した超格子試料が結晶成長できるよ うになり、フォノンラマン散乱の研究は飛躍的に発展し、以下のテーマに関する成果を得た。 (1) 超格子におけるミニブリルアンゾーン形成による音響フォノンモードの折り返し。 (2) 光学フォノンモードの閉じ込めと量子化。 * Characterization of GaAs-AlAs superlattices by Raman spectroscopy: Solid State Commun. 49, 157 (1984). * Raman scattering from GaAs-AlAs monolayer-controlled superlattices: Solid State Commun. 53, 493 (1985).  極薄膜(1〜4原子層)超格子のフォノンモードに関する初めての明確な研究。 * Zone-folding effects on phonons in GaAs-AlAs superlattice: Jpn. J. Appl. Phys. 24, 1331 (1985). * Raman scattering from GaAs-Al0.5Ga0.5As-AlAs polytype superlattices: Solid State Commun. 58, 475 (1986). * 半導体超格子のフォノンラマン散乱   固体物理 22, 383 (1987).  超格子のフォノンラマン散乱に関する詳細な解説であり、その基本的な概念の全てを述べて  いるつもりです。この分野に興味のある方は是非ご一読下さい。 (3) 格子不整合系超格子(歪み超格子)におけるフォノンモードに対する歪み効果。 * Raman scattering from GaAs-InxGa1-xAs strained-layer superlattices: Solid State Commun. 51, 343 (1984). * Raman study of GaAs-InxAl1-xAs strained-layer superlatices: J. Appl. Phys. 58, 4342 (1985).  ラマン散乱分光法による超格子・量子井戸構造の歪み評価の基礎となる論文である。LOフォ  ノンモードの振動数をプローブとして、歪み評価が簡便にできることを実験と理論の両面で  明らかにしている。 * Effects of buffer layers in GaAs-In0.2Al0.8As strained-layer superlatices: Appl. Phys. Lett. 48, 281 (1986). * Effects of Layer strains in an In0.18Ga0.82As-GaAs strained-layer superlattices: Surface Sci. 174 579 (1986). (4) ラマン散乱過程における結晶サイズの有限性効果:運動量(波数ベクトル)選択則の破綻。 * Finite-size effects on Raman scattering from GaAs-AlAs superlattices: J. Appl. Phys. 60, 3289 (1986). 私個人としては、超格子のラマン散乱過程の根本的な問題を探究した研究と思っている。 (5) 準周期性超格子(一種のフラクタル構造)における音響フォノンモードの自己相似性。 * Folded acoustic phonons in (Al,Ga)As quasiperiodic superlattices: Phys. Rev. B 36, 3472 (1987). (6) 界面フォノン・ポラリトンの存在の証明。 * Raman scattering by interface-phonon polaritons in a GaAs/AlAs heterostructure: Phys. Rev. B 38, 6348 (1988).  この論文は、界面フォノンポラリトンの検出とそのポラリトン分散関係に関する理論を初め て明確にしたものであり、下記のテキストにも引用されている。   P.Y. Yu and M. Cardona, "Fundamental properties of semiconductors" (Springer, Berlin, 1996) Chap.9. * GaAs/AlAsヘテロ構造の界面フォノンポラリトン   固体物理24, 385 (1989) * Interface-phonon polaritons in in GaAs/AlAs heterostructures: Surface Sci. 228, 131 (1990). [プロファイルに戻る] /////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

    真空蒸着法によるI-VII族薄膜の結晶成長とその励起子光物性, シンチレーション機能, ZnO薄膜の結晶成長と励起子光物性

     上記の半導体超格子を作製するためには、分子線エピタキシー(MBE)装置という非常に 高価で、かつ、膨大な維持経費が必要なものが要求され、研究費や研究条件が制限されている 状況では、MBE法による結晶成長の継続は不可能であった。  当光物性工学研究室は、西村仁教授(2000年3月退職:名誉教授)が、アルカリハライド・バ ルク結晶の励起子に関する研究の第一人者として長年にわたってその研究成果を蓄積されてい るので、1992年に、簡便な高真空条件での真空蒸着法を用いて、アルカリハライド薄膜の結晶 成長に着手した。装置は、倉庫で眠っていたものや、ゴミとして棄てられていたものを、ナノ メータオーダーの精度で結晶成長ができるように自分自身で改造したものである。  アルカリハライドの分野においては、その歴史の初期に(1960年代)、薄膜の研究が行われ ていたが、結晶性が悪く精密な光物性研究の対象にはならないということが通説であった。し かしながら、MBE法による結晶成長の経験をベースとして作製を行うと、非常に高品位のエ ピタキシーが可能であることが明らかとなった。1995年からは、さらに銅ハライドへ研究を展 開した。  アルカリハライド、銅ハライドは、励起子研究のモデル物質として長年にわたってバルク結 晶の研究が行われているが(励起子束縛エネルギーが100〜200meV程度と非常に大きく励起子の 安定性が半導体とは桁違いに高いため)、私個人としては、薄膜特有の興味深い励起子物性の 世界が今尚広がっていると考えている。薄膜構造による励起子状態の制御と、励起子-励起子散 乱による誘導放出や励起子量子ビートなどが、具体的なターゲットである。  応用の観点からは、アルカリハライドのシンチレーションを利用する「X線イメージセンサ ー」があり、その研究も精力的に進めている。この研究において特筆すべきことは、最も代表 的なシンチレータ材料であるCsI:Naにおいて、CsI母体中におけるNaIナノ微粒子形成がシンチ レーション機能の起源であることを薄膜を試料として見出したことである。 * Scintillation from NaI nanoparticles formed in CsI:Na thin films M. Nakayama et al., Jpn. J. Appl. Phys. 41, L263 (2002). また、CsI-CuI混晶及びCsI/CuI多層膜が、X線イメージングにおいて極めて優れた物質である ことを見出した(特許出願:特願2001-347335)。 さらには、酸化物シンチレータの光物性に関しても研究を展開している。 [解説] * 真空蒸着法によるI-VII族結晶のエピタキシーと薄膜の励起子光物性   真空 41, 1027 (1998). I-VII族結晶のエピタキシーの歴史と、当研究室での成果をまとめたものであり、この分野 に興味をある方は是非ご一読下さい。 * CsI:Na薄膜におけるナノ粒子形成とシンチレーション機能   固体物理38, 865 (2003). [公表論文] * Optical properties of RbI thin films grown by vapor phase onto Alkali-Halide and quartz substrates: J. Phys. Soc. Jpn. 64, 3514 (1995). 当研究室の最初のI-VII族薄膜の論文であり、極めて高品位なバルク結晶(ゾーン精製)で しか観測されないと考えられていたアルカリハライドの自由励起子発光が、真空蒸着薄膜に おいて観測されること、また、アルカリハライド特有の自己束縛励起子に関しても、薄膜特 有の格子歪み効果が生じていることを示している。 * Hot excitons in CuCl and CuBr thin films grown by vacuum deposition: Phys. Rev. B 55, 10099 (1997). (0001)面Al2O3(サファイア)を基板として、GaAsなどの化合物半導体と同じ閃亜鉛鉱結晶構 造を有する銅ハライド薄膜(CuCl、CuBr)が[111]方向に配向結晶成長すること、また、その 結晶性が非常に良いことを、X線回折と励起子光学スペクトルから明らかにしている。さらに、 表題の非熱平衡状態の励起子(Hot exciton)について、詳細な研究成果を示している。 * Strain-induced splitting of the heavy-hole and light-hole-exciton energies in NaI thin films: Phys. Rev. B 57, 2592 (1998).  半導体超格子・量子井戸構造では、格子不整合歪みにより価電子帯の重い正孔と軽い正孔の  縮退が解けることは、歪み超格子・量子井戸の概念において明確となっていたが、イオン結  晶であるアルカリハライドに関しては明確な報告はなされていなかった。この論文は、その  格子歪み効果を明確に示す初めての論文であり、kp摂動論に基づく定量的な解析、及び、格  子不整合歪みの臨界膜厚について述べている。 * Epitaxy effects on excitons in CuI thin films: Proceedings of the 3rd International Conference on Excitonic Processes in Condensed Matter (EXCON'98) (Boston, Nov.1-5, 1998); The Electrochemical Society Proceedings Vol.98-25, 477 (1998).  銅ハライドは常態においては立方晶系の閃亜鉛鉱構造が安定な結晶構造であるが、サファイ  ア基板上に蒸着した8nm以下の超薄膜では、六方晶(hexagonal)系結晶構造となり、励起子エ  ネルギーは結晶場の違いにより大きく変化する。また、8nmを臨界膜厚として、それ以上の層  厚では閃亜鉛鉱構造に構造転移し、励起子スペクトル、X線回折パターンはバルク結晶と同  様なものとなる。 * Photoluminescence of biexcitons and bound biexcitons from CuCl thin films: Proceedings of the 3rd International Conference on Excitonic Processes in Condensed Matter (EXCON'98) (Boston, Nov.1-5, 1998); The Electrochemical Society Proceedings Vol.98-25, 489 (1998). CuCl薄膜における励起子分子と束縛励起子分子発光に関する報告。 * Bound-biexciton photoluminescence in CuCl thin films grown by vacuum deposition:   J. Phys: Condens. Matter 11, 7653 (1999). CuClの励起子分子研究には長い歴史があり、最近II-VI系で話題となっている励起子分子が 関与する誘導放出は1971年に既にShakleeらにより報告されている。しかしながら、励起子 分子の不純物束縛状態(束縛励起子分子:bound biexciton)については、明らかとなって いなかった。この論文では、束縛励起子分子の発光特性、束縛エネルギー、及び、熱的安定 性に関する詳細な報告を行っている。 * Stimulated emission from exciton-exciton scattering in CuBr thin films: J. Luminescence 87-89, 235 (2000). CuBr薄膜における励起子-励起子散乱による誘導放出に関する初めての報告である。励起子- 励起子散乱過程は、II-VI族半導体(特にCdSやZnO)においてPn-emissionとして知られている。 これは、n=1励起子同士の散乱により、一つの励起子がn≧2励起子状態に散乱され、もう一つ の励起子がその散乱エネルギーだけ下がった光分枝(ポラリトン)に散乱されて発光するとい う現象であり、励起子誘導放出の有力な過程の一つである。 * Thermal-strain-induced splitting of heavy- and light-hole exciton energies in CuI thin films grown by vacuum evaporation: Phys. Rev. B 60, 13879 (1999). 基板とCuI薄膜との熱膨張係数の違いによる熱歪み効果によって、CuI薄膜の重い正孔(HH)と 軽い正孔(LH)の縮退が解けることについて、励起子スペクトルから実験的に明確に、kp摂動 論によって理論的に説明している。具体的には、HHとLHのエネルギー序列と分裂幅が、基板 を変える(熱歪みの方向を変えることに相当)ことによって制御できることを示している。 * Photoluminescence from heavy-hole and light-hole excitons split by thermal strain in CuI thin films J. Luminescence 87-89, 257 (2000). 熱歪み効果によって縮退が解けたCuI薄膜のHH励起子とLH励起子の発光特性において、非熱平 衡性とLOフォノン散乱が大きく寄与していることを示している。 * Control of temperature dependence of exciton energies on CuI-CuBr-alloy thin films grown by vacuum deposition International J. Modern Physics B 15, 3977 (2001). 銅ハライドのバンドギャップエネルギーの温度依存性は、CuClとCuBrでは温度上昇に伴って 高エネルギーシフトし(通常の半導体の特性と逆傾向)、CuIでは低エネルギーシフトする。 この異なる温度依存性に着目し、CuIとCuBrの混晶薄膜を真空蒸着法で作製し、励起子吸収 エネルギーの温度依存性を制御することを試みた。混晶比によって、エネルギーシフトの逆 転が生じること、また、ある混晶比において励起子エネルギーの温度依存性がほとんどなく なることを明らかにし、この結果について、電子-格子相互作用の観点から議論している。 * Quantum beats between heavy-hole and light-hole excitons in CuI thin films J. Luminescence 94-95, 385 (2001).  熱歪み効果によって縮退が解けたCuI薄膜のHH励起子とLH励起子の量子ビートを、フェムト秒  ポンプ-プローブ分光法により検出した。励起子-格子相互作用が強い系での励起子量子ビート  は、半導体系とは異なる振る舞いを示すことが期待でき、さらなる研究を展開している。 * Stimulated emission due to the inelastic scattering from the heavy-hole exciton to light-hole exciton in CuI thin films: J. Appl. Phys. 92, 3511 (2002).  熱歪み効果によって縮退が解けたCuI薄膜のHH励起子とLH励起子において、HH励起子からLH励  起子への非弾性散乱によって「励起子誘導放出」が生じることを初めて実証した研究である。  この現象は、励起子誘導放出に関する新たな一石を投じたものと考えている。 * Optical gain of stimulated emission due to exciton-exciton scattering processes in CuI thin films: Nonlinear Optics 59, 507 (2002).  上記の「励起子誘導放出」の現象について、ナノ秒パルスによるポンプ−プローブ吸収変化  の詳細な実験から、光学利得に関する知見を得た。  【シンチレータの光物性】 * Origin of the 4.1-eV luminescence in pure CsI scintillator Phys. Rev. B 51, 2167 (1995)  CsI結晶は、長年にわたって代表的なシンチレータ材料として用いられているが、そのシンチ  レーション機構は、未解決であった。我々は自己束縛励起子の観点から2光子励起発光の研究  を行い、on-center型自己束縛励起子による発光がシンチレーションの起源であることを見出し  た。 * Scintillation from NaI nanoparticles formed in CsI:Na thin films Jpn. J. Appl. Phys. 41, L263 (2002).  高効率シンチレータ材料として広く実用化されているCsIにNaをドーピングしたCsI:Naのシン  チレーション機能が、NaIナノ微粒子形成により発現することを見出した。これは、従来のモ  デル(NaイオンにトラップされたCsI自己束縛励起子)というモデルを根本的に覆す結論であ  り、「ナノ微粒子形成によるシンチレーション機能の制御」という新たなパラダイムを提案  するものである。 * Scintillation mechanism of Bi4Ge3O12: Nonlinear Optics 29, 609 (2002).  X線イメージセンシングやγ線検出に用いられているBGO結晶のシンチレーションが、結晶固有  の自己束縛励起子に起因することを、アーバック(Urbach)則から明らかにした。 * Role of the core excitons formed by 4f-4f transitions of Gd3+ on Ce3+ scintillation in Gd2SiO5:Ce3+: Phys. Rev. B 67, 165206 (2003).  Gd2SiO5結晶にCeをドーピングしたGSO:Ceは、γ線検出において近年非常に注目されている物質  であるが、そのシンチレーション機構の詳細は明らかではなかった。我々は、励起子光物性の観  点から、GSO結晶のGdイオンの4f-4f励起状態が内殻励起子として結晶中を伝播(拡散)し、その  エネルギーがドーピングされたCeイオンに伝わることによって、シンチレーションが生じるとい  う、新たなモデルを実験的に提案した。 * Scintillation activated by nanoparticle formation in CsI:Na thin films: J. Lumin. 108, 359 (2004). 【ZnO薄膜の結晶成長と励起子光物性】 ZnOは代表的なワイドギャップ半導体であり、実用化の観点から長年にわたって研究が行われている が、60meVという大きな励起子束縛エネルギーは励起子光物性における大きな魅力である。我々は、 研究室において、自前でZnO薄膜の結晶成長を行うことを努力している。その方法としては、(1)rf マグネトロン・スッパタリング法、(2)電気化学堆積法、(3)クロライドVPE法の3種類を採用してい る。現時点(2004年5月)では公表論文は一つであるが、スッパタリング法とクロライドVPE法によ って、極めて高品位の薄膜の作製に成功しており、今後の研究の大きなターゲットの一つである。 * Photoluminescence properties of ZnO thin films grown by electrochemical deposition: Jpn. J. Appl. Phys. 42, L935 (2003).  水溶液中での電気化学堆積法という極めて簡便かつ安価な手法で、高品位のZnO薄膜が作製できる  ことをX線構造解析と励起子発光特性から明らかにした。特に、励起子誘導放出と関連するP発光  (励起子−励起子散乱発光)が、このような作製法の薄膜でも生じることを実証したことは、結晶  成長の観点を変えるものであると考えている。 [プロファイルに戻る] 光物性のホームページに戻る